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2016.01.21 発売

H.pylori除菌による胃がん予防戦略

IARCワーキンググループ報告書8

基礎医学

定価3,520円(本体3,200円+税)
発行形態A4判 / 144ページ
ISBN978-4-7792-1584-1

おすすめポイント

国際がん研究機関(IARC)によって2014年に発表された「H.pylori除菌による胃がん予防戦略」の日本語翻訳版。

内容紹介

2013年12月4日より3日間,フランスのリヨンにあるIARC本部の1階の会議室でH.pyloriと胃がんに関するIARCのWorking Group Meetingが開催された。1994年にIARCがH.pyloriを明らかな発がん物質に指定してから世界中でH.pyloriと胃がんの研究が始まり,それから20年ぶりに開かれるH.pylori除菌による胃がん予防の戦略会議である。IARCはがん研究に関する総本山であり,世界中のがんの情報が集まってくるところである。IARCの最も重要な仕事の1つは発がん物質の指定であり,IARCで指定されたものは直ちに各国政府に伝えられ,それに基づいて各国の政策が決定するのである。

私の元にIARCから招待状から届いたのは8月であり,初めは信じられない気持ちであった。なぜ私が専門委員として選ばれたのかは不明であったが,H.pyloriと胃がんの研究を行っている者にとっては大変に光栄なことであった。胃がんは東アジアに多いので,私のほか,中国,韓国,台湾からも選ばれており,バランスのとれた選考であると思われた。1994年のIARCの会議でH.pyloriを明らかな発がん物質と認定した中心人物であるCorrea教授は88歳になっていたが大変お元気であり,胃炎の進展とH.pylori感染に関する基調講演をしてくれた。1991年,異なった地域からの疫学前向き研究でH.pyloriと胃がんの関わりが初めて明らかにされたのであるが,米国のデータを発表したスタンフォード大のParsonnet教授と英国のデータを発表したIARCのForman教授がそろって参加していた。H.pyloriと胃がん研究ではレジェンドともいえる3人の教授の参加のもと,会議は始まった。会議は,①国・地域ごとの胃がん予防に向けての取り組み,H.pylori除菌による健康への効果と影響,③H.pylori除菌の費用対効果およびH.pyloriスクリーニング・治療計画の実現可能性,④胃がん減少を期待し現在行われているか計画されているH.pylori治療の臨床研究についての4項目について発表と討論が行われた。最後の日は会議のコンセンサス作成に当てられた。帰国してからもメールを使用して議論が行われたが,コンセンサスが仕上がるまでには9ヵ月近くかかった。その間,我々が講演した後,提出した論文のpeer reviewが参加者間で行われ,最終的に190ページにもなるレポートがまとまった。

H.pylori除菌による胃がん予防に関して最新の世界の状況がわかる貴重な内容の本であるが,すべて英語で記されているのでこの分量を読破できる人はそれほどいないのではないかと心配した。そこでJapan Gast Study Group(JGSG)の会員である研究者を中心に翻訳を試みこの本をわが国に普及させようと計画した。IARCの許可のもと翻訳作業が始まった。翻訳者はもともとH.pyloriと胃がんの研究に携わった方々なので,わかりやすい日本語に訳されたと確信している。絶対に読むべきところは最初に出てくるIARCサマリーの部分であり,ここにIARCのWorking Group Meetingの結論がわかりやすく述べられている。次に日本との比較で各国の胃がん対策を読み解いてほしい。WHOのがん研究機関であるIARCの本が日本語で読める機会はこれまでほとんどなかったと思われるので,多くの方々に読んでいただきたいと考えている。ともかく世界の胃がん対策の現況が理解できるのは本書以外ではありえないのでどなたにも一読を勧めたい。

(浅香正博「序文」より)

目次

Summary

Introduction

Section 1:国・地域ごとの胃がん予防に向けての取り組み

Section 2:H.pylori除菌による健康への効果と影響

Section 3:H.pylori検診・治療計画の費用対効果と実行可能性

Section 4:H.pylori治療が胃がんを減少させる可能性に関する現在実施中および計画中の研究

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