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2026.07.16 発売

0次予防から始まる健康国家戦略

~2040年における医療の未来予想図~

著者加藤 浩晃

医学一般

定価3,850円(本体3,500円+税)
発行形態四六判 / 344ページ
ISBN978-4-7792-2969-5

おすすめポイント

2100年、医療は予防を中心に再構築される! 2018年に『医療4.0』において、2030年に向けた医療のDX化を論じた著者が、2100年の医療と社会制度の姿を大胆に予想する。もはや治療が医療の目的ではなくなり、予防が主役になる!

内容紹介

「医療DXの先には、医療の抜本的な変化が待ち受けている」と著者の加藤浩晃先生は言います。

それは医療における「治療モデル」の限界と「健康設計モデル」への変化です。

従来、医療は病気を治すことを中心に構築されてきましたが、著者が唱える「医療4.0」(医療のDX化)による医療の多角化・個別化・主体化が浸透することにより、医療の主役は予防へと移り、医師は「病気の治療者」から「健康の設計者」へと役割が変わっていきます。

予防の概念も「病気を防ぐ」のではなく、「病気を成立させない」という「0次予防」を主眼として組み立てられるようになります。

医療業界は、現在の姿ではもはや生き残れません。医療機関、製薬企業、医療機器産業、医療流通、生命保険会社など、医療業界の主要メンバーは、ビジネスモデルの大変革を強いられます。さらに、医師のキャリアプランや国の医療行政も大きく変わっていきます。

本書は、このような「0次予防」を出発点とした医療とそれに伴う社会の変化を、大胆に予想しています。本書の内容は、人口減少による衰退が予想される日本に対する「生き残り戦略」でもあります。

2100年に向けて、さらなるグローバル化、DX化の荒波を乗り越えるためにも、医療業界のすべてのステークホルダー(利害関係者)に読んで頂きたい1冊です。

目次

はじめに

第1章        医療の前提はなぜ「治療」から「設計」へ変わるのか

・治療モデルはなぜ成功し、なぜ限界を迎えつつあるのか

治療中心モデルの誕生

環境が変わると、最適なモデルも変わる

・多角化──医療は「病院の中」から「社会インフラ」へ

境界線が消えていく

医療産業の構造が変わる

病院中心モデルの揺らぎ

医療が「社会設計機能」に変わっていく

・個別化──「平均」から「個体」へ

標準治療の成功とその限界

ゲノム医療の衝撃

治療最適化から「生活設計」へ

・主体化──「患者」から「設計者」へ

パターナリズムの終焉

情報アクセスの民主化

主体化は「患者教育」とは違う

「自己設計する個人」の出現

医療者の役割が変わる

・3つの変化が収束する先──「0次予防」

多角化・個別化・主体化が同じ方向を向いている

なぜ「設計」へと収束するのか

収束点を「0次予防」と名づける

 

第2章        0次予防とは何か──設計医療の定義

・1次・2次・3次予防の限界

予防医療の3段階

3つの予防に共通する構造的限界

すべては「リスク前提型」である

・0次予防とは何か──構造設計という医療

火事を例に考える

構造と設計

3つのレベルで設計する

糖尿病を例に見る

・技術的基盤──ゲノム×ライフログ×デジタルツイン

ゲノム──生物学的設計図

ライフログ──日常の記録

デジタルツイン──仮想的自己

3つが統合された時

・「病気を防ぐ」から「病気を成立させない」へ

「防ぐ」という発想の限界

「成立させない」という発想

閾値モデルから連続モデルへ

レジリエンスを設計する

マイナスをゼロにするのではなく、プラスを創造する

 

第3章        医療機関はどう変わるか

・病院──治療拠点から健康設計拠点へ

スマート病院の限界

設計拠点としての病院

病院経営と機能分化

・クリニック──身近な健康設計パートナーへ

クリニックが抱える構造的課題

健康設計拠点への進化

地域の健康設計パートナーとして

短期実装としての受診の3層化

第1層:AIによる一次評価

第2層:オンライン診療

第3層:対面診療

・在宅医療──「補完」から「中心」への再定義

従来の在宅医療の位置づけ

在宅を「中心」に据える

在宅設計拠点と地域統合

・常時モニタリング社会と倫理

イベント型から常時管理型へ

プライバシーと監視社会のリスク

倫理的フレームワークの必要性

 

第4章        製薬企業の再設計 ─治療薬から予防・健康へ─

・バイオ医薬品の限界

低分子からバイオへの転換

バイオ医薬品の経済的矛盾

治療薬モデルの行き詰まり

・予防・先制市場の爆発

病市場の台頭

GLP-1受容体作動薬による現象が示すもの

予防・先制医療の市場規模

・製薬企業の参入と先制医療

先制医療──製薬企業の次なるフロンティア

・サプリ・医薬の境界崩壊

現在の規制構造

境界崩壊の4つの地殻変動

規制の再設計が避けられない

市場再編の衝撃

・遺伝子×生活習慣×投与設計

「なぜ効かないのか?」の謎が解ける

生活習慣データが投与設計を変える

AIによるリアルタイム最適化

・健康設計企業への転換

「薬を売る企業」の終焉

健康設計企業とは何か

既に動き始めている巨大な転換

転換を阻む4つの壁

2100年に「製薬会社」は存在しているか

 

第5章        医療機器産業の進化 ─検査から常時モニタリングへ─

・従来の検査モデルから常時センサーへ

従来の検査モデル──「点」としての医療

POC検査の登場──縛りの一部が解ける

CGMが開いた扉──検査が「線」になる

連続データが変える医療の本質

医療機器メーカーへの構造転換圧力

・医療機器のサブスク化

「レイザー&ブレード」の終わり

MDaaSという新しいパラダイム

MDaaSは既に始まっている

・データプラットフォーム支配

ハードウェアの価値が急速に失われている

プラットフォームという新しい戦場

勝者の条件

・検査機器から健康設計のインフラへ

従来の医療機器──「病気の患者」のための装置

健康設計インフラへの進化

具体的に、何が起きているのか

健康設計機器に求められる能力

2100年、「医療機器」は姿を消しているかもしれない

 

第6章        医療流通の再定義 ─物流から健康を支える仕組みへ─

・医療価値の具現化企業へ

医薬品卸の現状──過小評価された巨人

業界が直面する課題──すべての問題は1つに収束する

M&Aの本当の意味──「規模」ではなく「変革」のための起点

「医療価値の具現化企業」への再定義

医薬品卸だけが立てる「見えない展望台」

・データハブ化

医療DXの推進役──「分かっているが進まない」を動かす

AIとIoTの活用──「見えなかったもの」を見えるようにする

データビジネス──「知られざる高収益事業」の誕生

・地域健康インフラ化

医療インフラとしての卸──無自覚な巨人

地域包括ケアへの貢献──「結果的につないでいる」から「戦略的につなぐ」へ

過疎地・高齢化地域への対応──「最後の防波堤」の経済性

地域健康インフラの将来像

・医療安全保障と設計医療

設計医療における卸の役割

持続可能な医療体制への貢献

2100年、「医薬品卸」という名称は残っているか

 

第7章        医師はどう変わるのか ─治療者から設計者へ─

・治療者モデルの終焉

設計医療における医師の役割

・医師の三層構造

第1層:臨床専門医

第2層:健康設計医

第3層:医療インフラ設計医

3層の関係──ピラミッドではなく、生態系

・AI時代の医師の価値

生成AI×医療の現状

診断精度で勝つことの限界

統合判断と倫理的決断の価値

設計思考と構造提案の価値

AI時代の医師の本質

・医師のキャリアは病院に閉じない

従来の医師キャリア

1人の医師のキャリア変遷──実例として

臨床専門医として

医学教育の専門家として

医療インフラ設計医への展開

健康設計医への拡張

個人から組織・社会へ

拡張される活動領域

 

インフラ設計者としての医師

キャリアの流動性

多様なロールモデル

・医師教育の再設計

現在の医学教育の構造

現在の教育の限界

医師自身の学び直し──1つの実例として

医学教育の再設計の方向性

カリキュラムの具体的変革

生涯教育の重要性

教育改革の課題と展望

2100年、医師とは何者か

 

第8章        産業界はどう変わるのか ─健康が経営戦略になる時代─

・健康経営──従業員の健康は人的資本投資

健康は「コスト」から「投資」へ

人的資本開示と健康

プレゼンティーイズム──見えない巨大コスト

・保険セクター──最も強力な推進役

保険会社──リスクへの対処から、健康への支援へ

保険会社が持つ3つの強み

健康保険組合──2,800万人のデータを抱える巨人

保険と医療の境界が溶ける

公的医療保険制度への含意──国民皆保険の再設計

診療報酬制度の再設計

保険者機能の強化

2040年、そしてその先へ

・   異業種参入──医療産業の境界が溶ける

通信・IT──データインフラを握る者が健康を設計する

小売・流通──コンビニは医療機関を超える健康インフラになる

不動産・都市開発──住む場所が健康を決める

食品産業──毎日の食が最大の医療になる

「医療産業」という概念の終わり

・ヘルスケアスタートアップ──イノベーションの源泉

なぜ既存企業では足りないのか

資本市場という見過ごされたインフラ

IPO市場という残された難所

スタートアップが担うべき5つの領域

・ビジネスパーソンの健康──1人から始まる設計

経営者こそ「健康の設計者」であるべき

40歳という転換点

実例:データに基づく設計が経営判断を変える

1人から始まる波及

2100年、「健康産業」は「産業」そのものになる

 

第9章        健康国家戦略 ─医療4.0から健康国家へ─

・なぜ国家戦略が必要なのか

縦割り行政の限界

基本法という設計思想

「強い国家」ではなく「賢い国家」として

・医療需要の構造的逆算──2040年の数字が語るもの

社会保障費 =(人口×発症率×重症度×単価)──変数のどこに介入するか

因果連鎖──介入から効果へ

3層会計──効果を「分けて見る」ための枠組み

第1層:財政インパクト(公的医療保険・介護保険の給付費)

第2層:経済インパクト(労働生産性とGDP)

第3層:統合インパクト(社会全体の桁感)

構造転換の積み上げ──結果として見えてくるレンジ

3層レンジ──時間軸での実現可能性

統計モデルの限界とエージェントベースシミュレーション

「面的シミュレーション」の重要性

移行コストは、誰が払うのか

優先順位──最初に着手すべき3つの政策

実装の鍵──インセンティブ設計

本書の提案と既存政策との関係

これは「設計」であると同時に「政治」である

・「健康国家」という国家ビジョン

「支援モデル」から「設計モデル」へ

社会保障の目的の再定義

KPIの転換──「いくら使ったか」から「どれだけ健康になったか」へ

Goodhartの法則──「指標が目標になった瞬間、それは良い指標ではなくなる」

四層の複合指標

・0次予防の制度化

食環境・都市・労働環境の設計

現役世代の健康を国家安全保障として位置づける

診療報酬制度の抜本改革

見えない構造的負担──控除対象外消費税問題の解決

医療・健康産業の成長戦略化

・健康国家を支える二つの基盤──データと規範

データ基盤の整備

「Data-Centered医療」という構想──医療DXビジョン2040

データヘルス改革の発展として

規範の問い──「どこまで医療をやる国家か」

・もし法律にするなら──健康国家戦略基本法の構想

既存の「健康・医療戦略推進本部」との関係──発展的改編のすすめ

第一段階──健康国家戦略基本法の制定

第二段階──本部の射程拡張:健康・医療戦略推進本部から健康国家戦略推進本部へ

司令塔の「実権」──調整機関で終わらせないために

第三段階──事務局の強化:健康国家戦略推進事務局の設置

既存の仕組みを継承する──AMEDと関連協議会の位置づけ

現場との合意形成──健康国家戦略推進協議会の設置

なぜこの実装アプローチが現実的なのか

医療界との協調──対立ではなく共創

この改革に反対する合理的理由

「共創の設計」──誰が得をするかを明確にする

・2040年というマイルストーン

この戦略が失敗する条件 

未完成の設計図として

設計は、今始まる

 

第10章     2100年の医療を設計する ─次の世代に手渡す設計図─

・指数関数的に加速する医療──線形予測の罠を超えて

「2040年は通過点にすぎない」という認識

2045年──「人とAIの融合」が日常になる

2060年──「健康」が個人の努力から社会のインフラへ

2080年──生物学的老化への介入が標準化する

2100年──ポスト医療社会、そして人間の再定義

・日本から世界へ──課題先進国からソリューション先進国へ

日本の強みの再定義

・次の世代への手紙──なぜ、2100年なのか

完成を見ないことを前提として設計する

そして、本書もまたいずれ古びる

本書は、子ども世代への手紙です

おわりに

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