書籍
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2014.08.29 発売
四国がんセンター編
分子標的薬を中心とした皮膚障害
診断と治療の手引き
定価 4,400円(本体4,000円+税)
発行形態 A4判 / 90ページ
ISBN 978-4-7792-0943-7
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4,400 (税込)
内容紹介

近年、薬物療法の一環として分子標的薬を使用する機会が各診療科で増えており、それに伴い有害事象(副作用)に遭遇する機会も増加している。有害事象の中で患者のquality of life(QOL)を著しく低下させるものとして、皮膚障害がある。発赤、熱感、膨隆、そう痒、疼痛、落屑などがその主な症状であり、そのコントロールを十分に行うことは、患者のQOLの維持とともに、癌薬物療法の継続にかかわり、さらには患者予後にも影響を及ぼす可能性が高い。例えば大腸癌の分子標的薬として、上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)阻害薬であるセツキシマブは近年頻用されている。セツキシマブは癌の細胞膜上のEGFRに結合し、癌細胞の増殖などを抑えるとされるが、EGFRは正常な皮膚にも多く存在するため、皮膚の受容体にセツキシマブが結び付いて皮膚の細胞の増殖を抑え、角化異常、炎症といった皮膚障害を引き起こすとされる。また薬剤の作用機序によってこの反応は異なり、例えばHER1(EGFR)とHER2を同時に阻害するとされるラパチニブは、HER1単独阻害剤のセツキシマブ、エルロチニブ、パニツムマブと比較して、表皮萎縮と瀘胞性好中球浸潤が少ないとの報告がある。

しかし、分子標的薬による皮膚障害(rash、ざ瘡様皮疹)が強く発現したものほど、薬剤の抗腫瘍効果が高いとする報告も多く、一方でざ瘡様皮疹が用量制限毒性(dose-limiting toxicity:DLT)となることも多い。したがって、皮膚障害のコントロールを適切に行い、分子標的薬の治療継続を図ることの意義は極めて高い。またこのように皮膚障害と一口にいっても発生機序もさまざまであるため、薬剤に応じたきめ細かい対策が必要である。

今回、四国がんセンターの化学療法委員会を中心としてワーキンググループを立ち上げ、分子標的薬による皮膚障害を早期から診断し、適切な加療を行い、分子標的薬を継続的に行うための指針となる各科横断的なアトラスを作成することとした。皮膚障害の対応が遅れたために分子標的薬の継続が困難になったことで結果的に患者を苦しめたり、また皮膚科医師の手を煩わせることがなく、各科が独自に判断の上で早期に皮膚障害の治療を開始し、分子標的薬がスムーズに継続できることを目標においている。そのため各科で用いる分子標的薬を中心にした薬剤を取り上げ、各科ごとに利用することが可能な書籍構成になっている。癌薬物療法を行っている患者のQOLの維持と治療成績の向上に貢献し、各診療科スタッフ諸兄の日常臨床の一助となることを祈念している。


(青儀健二郎「はじめに」より)

目次

はじめに


第1章 皮膚障害の評価と治療

1.薬疹

2.ざ瘡様皮疹

3.乾皮症と亀裂

4.爪囲炎・爪および毛の変化

5.手足症候群(Hand-foot syndrome)


第2章 他科(皮膚科・形成外科)による重症度評価が必要な皮膚障害

1.皮膚科の専門医による診断が必要な皮膚障害

2.形成外科の専門医による診断が必要な皮膚障害

3.専門看護師による処置が必要な皮膚障害


第3章 皮膚障害の予防

1.スキンケア

2.分子標的薬による皮膚障害の予防(STEPP試験)


第4章 コメディカル(看護師・薬剤師)の役割

1.コメディカルが医師へ報告すべき皮膚の臨床所見

2.EGFR阻害薬を使用時のスキンケアと,日常生活に関する患者説明の要点


第5章 Q and A

Q1 皮膚障害の評価方法を教えてください

Q2 皮膚科で使用されている外用剤の塗布方法を教えてください

Q3 患者さんが日常生活で皮膚障害を予防するポイントを教えてください

Q4 主治医が皮膚科への紹介を考慮するポイントを教えてください

Q5 わが国で承認されている分子標的薬を教えてください

Q6 分子標的薬や抗癌剤の治療再開のめどを教えてください


付録 ステロイド外用剤の作用強度別分類

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