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肝性浮腫―病態・診断・薬物療法

使用経験 重度肝硬変例の低Na血症に対するトルバプタンの使用経験

Experience of tolvaptan to the hyponatremia of severe liver cirrhosis

福田健楢原義之金沢秀典新井泰央坂本長逸

Fluid Management Renaissance Vol.4 Suppl., 73-77, 2014

「Summary」【目的】非代償性肝硬変例における下腿浮腫や腹水貯留に対する利尿薬投与は,低Na血症をきたし治療に難渋することがある。バソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンは,肝硬変例の低Na血症に有効と報告されているが,重度肝硬変例に対する治療効果についての検討はない。
【方法】血清Na値が130mEq/L以下の低Na血症を合併した肝硬変患者13例を対象とした。既存の利尿薬は継続し,トルバプタンは7.5mgの隔日投与もしくは3.75mgの連日投与で開始し,血清Na値を観察し改善が認められなければ7.5mg連日投与とした。
【結果】トルバプタン投与1日後から尿量は増加し,投与前と比較して投与1,4,7日後で優位に増加した。血清Na値は投与前123.2mEq/Lから投与1,4,7日後にはそれぞれ3.1mEq/L,4.8mEq/L,3.9mEq/Lと有意に上昇した。血清Na値が投与前後も低Na血症の改善が続いた例は2例にすぎなかった。1例でトルバプタン投与3日後に高Na血症をきたしたが,その他の症例では副作用は認めなかった。
【結語】低Na血症を伴う重度肝硬変例に対してトルバプタンは安全に投与でき,投与初期から低Na血症を改善させ有用と思われた。しかし,無効例や再燃例が相当数存在することから重度肝硬変における投与法の検討がさらに必要と思われた。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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