論文・記事一覧
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.2 70-75, 2008より
【特集 大腸SM癌の治療】
消化管をみつめ続けるパイオニア
八尾恒良 / 藤盛 孝博
「消化管をみつめ続けるパイオニア~診断学をめぐる全体と部分~」昨今の大腸癌診療における診断技術の向上は目覚ましい. 内視鏡の進歩は癌の早期発見を容易にし, 遺伝子研究の分野では癌の発生そのものを解明しようとしている. 大腸癌診断はまさにミクロの時代に突入したといえる. しかし, 高度専門化する技術は臨床医の診断能力に差をつけ, 診断のぶれを生じさせてもいる. そんな風潮に対し“診断には形態学が血の道に勝る”と信念をもって警鐘をならし, マクロとミクロの対比による消化管形態学を啓発し続ける消化管診断の第一人者, 佐田病院名誉院長の八尾恒良氏に, その信念を生んだ背景, そしてこれからの消化管診断学に対する思いを聞いた. 「藤盛」今回このインタビューのお話をいただいたときに, 臨床医としての僕の大先輩といったらこの人しかいない, ということで消化管形態学の大家である八尾恒良先生を推薦させていただきました. まずは, なぜ消化器に興味をもたれたのか, ということについてお聞かせ願えますか.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.2 76-79, 2008より
【特集 大腸SM癌の治療】
No.3 最近良く耳にする,オキサリプラチンによる末梢神経障害について教えて下さい。
吉田元樹 / 瀧内比呂也
「Question」最近よく耳にする, オキサリプラチンによる末梢神経障害について教えて下さい. 「Answer」大腸癌化学療法に適応のある薬剤では, オキサリプラチンによる蓄積性の神経毒性として, 感覚性末梢神経障害が出現し, 寒冷刺激により増悪することがよく知られており, 通常は可逆性変化と考えられています. 対処法としては, まず寒冷刺激への暴露予防を行い, 機能障害出現前にオキサリプラチンを減量や休薬します. 治療終了後は時間の経過とともに徐々に改善しますが, 回復には数ヵ月~数年を要する場合があります. 「背景」オキサリプラチン(oxaliplatin;L-OHP)は生体内変換体[ジクロロ1, 2-ジアミノシクロヘキサン(DACH)白金, モノアクオモノクロロDACH白金, ジアクオDACH白金]を形成し, 癌細胞内のDNA鎖内および鎖間の両者に白金DNA架橋を形成します. これらの架橋がDNAの複製および転写を阻害し, 抗腫瘍効果を発揮する第3世代の白金鎖体抗悪性腫瘍剤といわれています.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.2 80-81, 2008より
【特集 大腸SM癌の治療】
No.4 人工肛門(ストーマ)とはどのようなものですか? また,日常生活における注意点を教えて下さい。
山田 一隆
「Question」人工肛門(ストーマ)とはどのようなものですか?また, 日常生活における注意点を教えて下さい. 「Answer」ストーマとは消化管や尿路を人為的に体外に誘導した開放孔であり, 人工肛門は消化管ストーマのことです. ストーマからの排便による不利益や合併症への対策が重要です. 「消化管ストーマの概念と種類」人工肛門(artificial anus)という用語が使用された歴史は長いのです. しかし, 「人工」という用語が人工臓器的な誤解を与えることや, 肛門が本来もつ括約筋機能などを有しているかのような誤解を与えるために, ストーマという用語が一般的に使用されるようになっています. 消化管ストーマを必要とする疾患としては直腸癌・肛門癌が最も多いのですが, 結腸癌や他の悪性腫瘍でもストーマ造設が行われることがあります. さらに, 潰瘍性大腸炎・クローン病・家族性大腸腺腫症・放射線直腸炎などの良性疾患や, 消化管吻合後の縫合不全などでもストーマ造設が行われることがあります.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.3 10-16, 2008より
【特集 切除不能進行・再発大腸癌の治療~分子標的薬と最新癌化学療法を中心に】
総論
遠藤慎治 / 森脇俊和 / 兵頭一之介
「Summary」 近年, 欧米を中心として, 大腸癌に対する化学療法は急速に進歩してきた. わが国においても, 2005年FOLFOXおよびFOLFIRI療法が保険承認を得て以降, 切除不能進行・再発結腸直腸癌に対する標準的治療は大きく様変わりし, 生存期間中央値も2年を超える時代となった. また, 最近の抗体医薬を含む分子標的治療薬の登場により, 従来の化学療法による抗腫瘍効果にさらなる上乗せ効果が, さまざまな臨床試験において示されている. 一方, 分子標的治療薬は従来の化学療法薬には認められない特異な有害事象が多く, その使用に当たっては十分な注意が必要となる. 2007年にbevacizumabが承認されたのに続き, 2008年7月には新たな抗体医薬品としてEGFR抗体であるcetuximabも承認された. 今後はどのような症例にどのようなregimenを投与していくかという治療戦略の決定がさらに重要になると思われる.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.3 17-22, 2008より
【特集 切除不能進行・再発大腸癌の治療~分子標的薬と最新癌化学療法を中心に】
トランスレーショナル研究と分子標的治療薬の根拠
田村大介 / 西尾 和人
「Summary」 大腸癌をはじめとして, 種々のがん種において分子標的治療薬が標準的治療の一翼を担うようになってきている. これら分子標的治療薬はその根拠となるさまざまな基礎研究の結果に基づいている. そして臨床で使用される中では, その副作用の問題, コストの問題など新しい問題も起こってきている. これらの問題を解決するためには, 臨床試験のデータと基礎研究のデータのさらなる集積が必要である. 今後の分子標的治療薬のさらなる進歩には, トランスレーショナル研究が担う役割が大きい. 「はじめに」 がん分子標的治療薬が臨床導入され, 種々のがん種において, 標準的治療としての一翼を担うようになってきている. 分子標的治療薬は, “はじめに標的分子”ありきで, 標的の同定, 選択, スクリーニング, 非臨床試験などを経て, 臨床導入される. 現在, 大腸癌治療の領域において臨床応用されている分子標的治療薬としては, 抗VEGF(vascular endothelial growth factor:血管内皮細胞増殖因子)抗体, 抗EGFR(epidermal growth factor receptor:上皮増殖因子受容体)抗体がある.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.3 23-27, 2008より
【特集 切除不能進行・再発大腸癌の治療~分子標的薬と最新癌化学療法を中心に】
進行・再発大腸癌に対する最新化学療法
江﨑泰斗 / 政幸一郎 / 有山寛
「Summary」 5-FU, CPT-11, L-OHPの3剤をkey drugとして進歩してきた切除不能進行・再発大腸癌の化学療法であるが, すでに欧米では, 近年登場したbevacizumabやcetuximab, panitumumabなどの分子標的薬が標準治療として組み入れられている. わが国でも2007年にbevacizumabが承認され, 2008年にcetuximabが承認された. 今後大腸癌患者の生存期間延長のためには, 患者の状態に合わせてこれら5剤をどのタイミングで併用することが最も効果を期待できるのか, エビデンスをもとに十分考慮して治療戦略を構築していく必要がある. 治療効果予測因子としてのK-RASなど分子マーカーの測定も重要な課題と考えられる. 「はじめに」 近年, 切除不能進行・再発大腸癌の化学療法は5-FU, CPT-11, L-OHP3剤に複数の分子標的薬が加わり, 大きく進歩した.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.3 28-31, 2008より
【特集 切除不能進行・再発大腸癌の治療~分子標的薬と最新癌化学療法を中心に】
術前・術後補助療法の最新化学療法―抗体療法の臨床的意義
宇良敬 / 室 圭
「Summary」 結腸・直腸癌の補助療法は欧米を中心に臨床試験を通して確立してきた. 現在の補助化学療法の標準的治療は欧米ではFOLFOX療法が確立している. 切除不能例を対象とした際には, 抗体療法などの分子標的薬の有用性は証明されているが, 補助化学療法における有用性はいまだ臨床試験によって検証されている段階である. いずれの抗体療法もFOLFOX療法などに併用された上で臨床試験により検証されている. 有用性の結果が得られるまでは数年を要する見込みであるが, それまでの間にも, 切除不能例を対象とした分子標的薬の個別化治療も見据えた適切な使用法について, 多くの知見が得られると期待される. 「はじめに」 大腸癌治療において周術期補助治療として, 術後治療は治癒切除後に術後再発の抑制と生存率の改善を目的とするものである. 一方, 術前治療は術後治療の目的に加えて治癒切除率の向上が目的の一つとなる.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.3 32-39, 2008より
【特集 切除不能進行・再発大腸癌の治療~分子標的薬と最新癌化学療法を中心に】
進行・再発大腸癌治療におけるCetuximabの役割と副作用対策
秋吉宏平 / 濱口 哲弥
「Summary」 2008年9月下旬にEGFR陽性転移性大腸癌に対してcetuximabが発売開始となる. これで国内でも転移性大腸癌に有効な抗がん剤がすべて使用可能となる. 現時点では, cetuximabはCPT-11不応な転移性大腸癌に対する臨床的有用性は確立しているが, 1st lineでの有用性はかならずしも確定していない. cetuximab有効性の予測因子として腫瘍のKRAS mutationの有無がたいへん重要であり, mutationのある症例ではcetuximabの効果は期待できない. cetuximab使用に当たっては, 皮膚毒性およびinfusion-related reactionに適切に対応することが肝要である. 「はじめに」 進行・再発大腸癌の治療の変遷は1950年代に開発された5FUに代表されるフッ化ピリミジン系抗がん剤にはじまり, 1990年代にはイリノテカン(CPT-11), オキサリプラチン(LOHP)が登場し, その後これら3剤すべてを使いきることにより生存期間が延長することが示された1).
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.3 40-45, 2008より
【特集 切除不能進行・再発大腸癌の治療~分子標的薬と最新癌化学療法を中心に】
進行・再発大腸癌におけるBevacizumabの役割と副作用対策
岩佐悟 / 加藤健
「Summary」 進行・再発大腸癌におけるベバシズマブ(BV)は, 初回治療としてFOLFOX療法, XELOX療法またはFOLFIRI療法に併用することの有用性が示されている. 二次化学療法においてもBVの有用性は示されているが, BV治療での増悪後にBVを継続するべきかは, 現在検証中であるため, 現在のところ増悪を認めるまでBVを継続することが推奨される. 有害事象に関しては, これまでの細胞障害性抗がん剤と異なり, 高血圧, タンパク尿, 出血(粘膜出血・腫瘍関連出血)や創傷治癒遅延が報告されているほか, まれではあるが重篤なものとして血栓塞栓症や消化管穿孔を認めるため, BVの投与に際しては, 薬剤の十分な理解とともに有害事象に対応が可能な状況で導入する必要がある. 「はじめに」 世界では標準的な治療薬として使われている薬剤が, 日本ではまだ薬としての承認すら得ていない状況を「ドラッグ・ラグ」と呼ぶ.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.3 46-49, 2008より
【特集 切除不能進行・再発大腸癌の治療~分子標的薬と最新癌化学療法を中心に】
大腸癌と免疫・遺伝子療法
金本彰 / 地主将久 / 田原 秀晃
「Summary」 再発大腸癌において, 現時点では癌ワクチンを主体とした能動的免疫療法は十分な臨床的効果が得られていない. しかしながら, 免疫療法と標準化学療法が融合するなど, 新たな展開も認められるようになった. 免疫療法を今後さらに発展させていくためには, 免疫誘導効果の増強を目的としたアジュバントの開発や, 癌の免疫学的逃避機構を解除できるような分子標的薬の開発・併用が重要であると考えられる. 遺伝子治療においては, βカテニン-WNT pathway制御に影響を与える分子群, p53をはじめとした癌抑制遺伝子, あるいはmiR-17-5p, miR-20aといった特定のmiRNAなど, 多くの大腸癌で活性変異が生ずることが知られている遺伝子が特定されており, 今後の展開に期待がもたれる. 「はじめに」 大腸癌における腫瘍特異抗原の発見, エピトープペプチドの同定, 樹状細胞などの強力な抗原提示細胞の臨床応用により, 抗原特異的な抗腫瘍免疫療法が進歩し, 外科治療や化学療法など従来の治療法を補完する治療として期待されている.