論文・記事一覧
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 12-16, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
総論
固武 健二郎
「Summary」2005年7月に出版された大腸癌治療ガイドラインは, 増加の一途を辿る大腸癌に対する国民的な関心の高まりに加えて, 診療ガイドラインへの行政の後押しも相俟って, 大腸癌の診療に従事する医師に広く普及してきた. 本ガイドラインの「総論」には, ガイドラインの目的, 作成の基本方針, 作成と改訂, 公開, 利用について簡潔かつ明確に記述されている. 本稿は, 「総論」の概要, ガイドライン作成の経緯, および2009年の出版を目指して進捗中の改訂作業における問題点に触れながら本ガイドラインの役割を概説した. 本ガイドラインが目指す到達点は大腸癌死亡の減少である. その検証にはがん登録によるアウトカムの計測が不可欠であり, 登録システムのインフラ整備が急務である. 「はじめに」わが国の大腸癌の増加に歯止めがかからない. 大腸癌の死亡率は, 全悪性新生物の中で, 女性では胃癌を抜いて第1位, 男性でも第4位と高率であり1), すでに多くの欧米諸国を凌駕している2).
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 17-25, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
大腸癌の内視鏡治療
斎藤 豊 / 松田尚久 / 中島健 / 菊地剛 / 桐山真典 / 池原久朝 / 浦岡 俊夫
「Summary」早期大腸癌においては, 通常内視鏡診断および拡大内視鏡診断にて, SM深部浸潤所見のない病変が内視鏡治療の適応となる. 20mm未満の病変では肉眼型にかかわらず, またIp型病変では20mm以上の病変においても通常ポリペクトミーあるいは内視鏡的粘膜切除術(EMR)にて一括切除が可能である. 一方, 表面型病変では20mmを超えると通常EMRでは分割切除となる場合が多い. 中でも側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor;LST)では, 肉眼型の亜分類によりSM浸潤率・様式も異なってくるため, 治療方針を考える上で注意すべき病変である. 現行ガイドラインにおいては20mmが, 内視鏡治療と外科手術の境界病変となっているが, 熟練医あるいは専門施設においては通常EMRと計画的分割切除(EPMR)あるいは内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を選択する際の境界となっている.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 26-29, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
大腸癌の手術治療
板橋道朗 / 廣澤知一郎 / 小川真平 / 亀岡信悟
「Summary」大腸癌手術におけるリンパ節郭清は, 術前画像診断あるいは術中所見による腫瘍の壁深達度およびリンパ節転移度から決定する. リンパ節転移を疑った場合には, 壁深達度に関係なくD3郭清を行う. リンパ節転移を認めない場合には, 壁深達度に応じてリンパ節郭清度を決定する. 直腸癌では局所再発を減少させるため, 一定距離の肛門側直腸間膜切除(tumor specific mesorectal excision;TSME)を行えばよい. 側方リンパ節郭清の適応は, 腫瘍下縁が腹膜反転部より肛門側にあり, かつ直腸壁を貫通しているものである. 側方郭清により局所コントロールだけではなく生存率も向上する. 自律神経温存術では, 神経の温存と保存可能な排尿・性機能には関連がある. stageIまでの進行度であれば, 腹腔鏡補助下手術のよい適応と考えられる. ガイドラインでは標準的治療が呈示されているが, 臨床では患者の状況にあわせて治療法を選択する.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 30-33, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
Stage Ⅳ大腸癌の治療
手塚徹 / 幸田 圭史 / 安田秀喜
「Summary」急増している大腸癌の中でもstage IV大腸癌の治療方針は, 原発巣の取扱いのみならず, 多岐にわたる転移臓器の取扱いをめぐって, 各施設間でいまだに統一の治療が施されていないのが現状と思われる. 2005年7月に出版された大腸癌治療ガイドラインは, この施設間格差をなくす目的で制作されたものであり, 特に集学的治療が必要なstage IV大腸癌の治療方針は, 血行性転移の項目も含めて, 蓄積されたデータに基づいており, きわめて重要な提言である. 本稿では, 大腸癌治療ガイドラインで示されたstage IV大腸癌の治療方針を文献をまじえ解説し考察を加えた. 「はじめに」大腸癌取扱い規約第7版1)においてstage IV大腸癌は, 原発巣の壁深達度とは無関係に, 肝転移(H1~3), 肝以外の遠隔転移(M1), 腹膜転移(P1~3), 以上が単独あるいは重複して原発巣と同時に伴っているものと規定されている.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 39-43, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
直腸癌局所再発の治療
高橋慶一 / 松本寛 / 山口達郎
「Summary」直腸癌局所再発率は, TMEの普及により10%以下に減少した. しかし, 外科的切除を積極的に行っても必ずしも延命に寄与できていない. 大腸癌治療ガイドラインでは, 切除可能なら切除することを推奨しているが, 術前に治癒的切除が可能かどうか画像で徹底的に評価し, 治療方法を選択することは重要である. 非治癒的切除例の予後は非切除例の予後と同等で, 術前の画像診断で, 合併切除を行っても剥離断端が陽性となる症例は, 外科的切除の適応外であると判断すべきである. 治癒的切除が不可能な場合は, 化学放射線療法が化学療法や放射線療法単独よりも予後の改善を認める. 切除不能局所再発に対する重粒子線治療は, 外科的切除と同等の局所制御率を示し, 新たな治療戦略になる可能性がある. 「はじめに」直腸癌の局所再発率は20~30%の時代から, TME(total mesorectal excision;直腸間膜全切除)の普及により現在では10%前後で, 世界的には減少した1-3).
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 44-49, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
化学療法
山﨑健太郎 / 朴 成和
「Summary」大腸癌における化学療法には切除不能転移・再発例に対する緩和化学療法, および根治切除症例に対する補助化学療法の2つの役割がある. 現在の大腸癌治療ガイドラインが発表されてから変わった状況は, 切除不能・再発大腸癌に対して分子標的治療薬であるbevacizumabが, 補助化学療法に対してFU系経口抗癌剤の一つであるcapecitabineが承認されたことの2点である. 2005年にわが国ではじめて大腸癌治療ガイドラインが作成され, 今後新たなevidenceを柔軟に取り入れ, 逐次改定されると思われるが, 近年, 欧米を中心に分子標的治療薬を含めた新規抗癌剤の開発はめざましく, 改訂作業が遅れているといわざるをえない. 大腸癌治療ガイドラインの出版とは別に, できれば新たなエビデンスが発表されるごと, 遅くとも国内での新薬承認ごとなどに, Webを用いてUp Dateを公表するなど, 改善が望まれる.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 50-55, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
大腸癌における放射線療法の役割
櫻井英幸 / 中野隆史
「Summary」大腸癌に対する放射線療法の役割は, 進行下部直腸癌に対する周術期放射線療法と, 対症的(緩和的)放射線療法に大別される. 進行下部直腸癌に対する周術期放射線療法は, 最近では術前化学放射線療法が主体となっている. 局所再発の抑制効果は明らかであるが, 肛門温存, 生存率の向上をはかれるか否かについては, 今後の臨床試験の結果が待たれる. 術前照射例の肛門温存率の向上と肛門機能の温存の関係についても, 詳細なQOLの調査が必要である. 化学放射線療法における照射方法は, 腫瘍および直腸間膜, 仙骨前面, 側方リンパ節を標的とし, 3または4門照射法で, CTを用いた治療計画が推奨される. 直腸癌の局所再発に対しては, 通常のX線の効果は不十分であり, 今後は重粒子線治療が有望である. また, 放射線療法は骨転移などの症例に対して, 速やかな症状の改善が期待できる有効な対症療法である.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 56-60, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
緩和医療
首藤真理子
「Summary」緩和ケアはがん末期だけに限定されたものではなく, がんと診断されたときから開始されるべき全人的ケアである. がん性疼痛はがん患者が訴える症状の中で最も頻度が高く, 約80%に認められる. WHO方式がん疼痛治療法を用いれば, 約80%の患者の痛みを軽減できるといわれている. 進行・再発大腸癌の患者では, 経口摂取が困難となることが多いため, 経口摂取困難時の薬剤の投与経路の変更方法について述べる. また, 消化管閉塞に伴う症状は, 従来の薬物療法のみでは治療に難渋することが多いとされるが, ソマトスタチンアナログ製剤であるオクトレオチドが有効な場合がある. 「がん診療における緩和医療の意義」WHOによると, 「緩和医療とは, 生命にかかわる疾病に直面している患者と家族の痛みやその他の身体的, 心理社会的, スピリチュアルな問題を予防・評価・対応することによってQOLを向上させるアプローチである」と定義される1). がん患者は, その人らしく生きる過程を障害するさまざまな苦痛(全人的苦痛, 図1)をかかえている2).
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 61-65, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
大腸癌手術後のサーベイランス
石黒 めぐみ / 小林 宏寿 / 望月英隆 / 杉原 健一
「Summary」大腸癌治癒切除後の再発率は約17%で, その約80%が術後3年以内に出現する. 大腸癌術後の再発を早期に発見し, 再発巣の治癒切除が行われれば, 約40%の5年生存率が期待できるため, 適切な術後サーベイランスが必要である. 大腸癌術後のサーベイランス法については, その検査法や間隔, 予後改善効果, 費用対効果比など, 明確なエビデンスはなく一定の見解が得られていないが, 多数の再発例のretrospectiveな検討から, 再発の特徴を把握し, 再発高危険群・低危険群の分別を行うことで, より効率的なサーベイランス法を計画できる可能性がある. 「はじめに-サーベイランスの意義-」わが国での大腸癌の治療成績は, 治癒切除後の5年生存率約80%と高い水準を示しているが, 一方で約20%に再発をきたしている現状がある. しかし, 再発巣を切除可能な状態で発見することができれば, 予後の改善につながる可能性は高い1-4).
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 72-77, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
世界をリードするわが国の大腸学
武藤徹一郎 / 杉原 健一
「世界をリードするわが国の大腸学~発展の軌跡と次世代へのメッセージ~」1970年代初頭まで, 大腸疾患は医学界においてマイナーな分野であり, 専門家と呼べる研究者も臨床家も稀有であった. それからわずか30余年. 大腸癌の罹患率・死亡率は上昇を続け, それと時を同じくして, わが国の消化器研究・治療は世界をリードするまでに発展した. 今やcommon diseaseといえる大腸疾患だが, 研究・治療の進歩とは裏腹に, 適切な検診・治療体制の整備の遅れが指摘されている. わが国の大腸疾患の礎を築き, 大腸疾患のみならず日本の新しいがん治療体制の創出に取り組む癌研究会有明病院院長の武藤徹一郎氏に, わが国の大腸疾患研究・治療の歩みを振り返るとともに, 今後の課題を聞いた. 「杉原」本誌創刊号の対談企画に当たって, わが国の大腸疾患の研究・治療のパイオニアである武藤先生にお話をお伺いします. まずは, 外科医を志したきっかけ, 外科医の研究として病理を選択した理由, 当初, 胃の研究をされていた先生が大腸の研究に没頭されるようになった経緯についてなどからお話しいただけますでしょうか.