Medicina Foresight

各領域で一歩先を見据える先生方に、
今後の課題や注目の治療薬などについて
最先端のお話を伺いました。
希少疾患とその新たな治療薬への期待
遺伝性ATTRアミロイドーシスの 治療の現状と今後の展望
安東 由喜雄 先生
熊本大学大学院生命科学研究部脳神経内科学分野 教授
Pharma Medica 37(1):71-74, 2019
遺伝性ATTRアミロイドーシス(別名:トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー)はトランスサイレチン(TTR)遺伝子の変異を原因とする進行性で予後不良な遺伝性疾患である。根本的な治療法として,これまでは肝移植が第一選択とされてきたが,より一般的で低侵襲性の新規治療法の開発が望まれていた。2018年8月,このようなアンメットニーズを解消する治療法として,TTR mRNAを標的とした世界初のsiRNA(small interfering RNA)製剤が欧米で承認され,本邦においても臨床導入される日が近づいている。そこで今回,ATTRアミロイドーシスの病態解明と治療法の開発に取り組んでおられる安東由喜雄先生に,遺伝性ATTRアミロイドーシスを中心に,疫学や治療の現状,課題と今後の展望などについて伺った。
近年の卵巣癌治療の動向
免疫チェックポイント阻害薬への 期待と課題
勝俣 範之 先生
日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科 教授,部長
Pharma Medica 37(1):75-79, 2019
免疫チェックポイント阻害薬は,固形癌に対し高い有用性を示す新規薬剤として注目を集めている。ただ,臨床で使用されるようになってから長くないため,未知の副作用発現や副作用の対処法について今後の経験の蓄積が必要である。また,バイオマーカーが確立していないこともあり,奏効率が化学療法薬に比べ低い点も指摘されている。本稿では,卵巣癌に対する癌化学療法,分子標的治療薬,免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験結果に基づく特性を紹介し,さらに免疫チェックポイント阻害薬の課題と対応について触れる。
X染色体優性低リン血症(XLH) と腫瘍性骨軟化症(TIO)の現状と 抗FGF23抗体療法 ―成人患者について―
木下 祐加 先生
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科 助教
Pharma Medica 37(2):85-89, 2019
2018年,線維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor:FGF23)に対する抗体医薬品が欧米で承認され,FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の新規治療薬として注目されている。FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症のうち,欧米で抗FGF23抗体治療の適応が認められたのは,小児および成人のX染色体優性低リン血症(X-linked hypophosphatemia:XLH)である。また,腫瘍性骨軟化症(tumor-induced osteomalacia:TIO)に対する抗FGF23抗体の治験も進行中である。これらの疾患に対する現行の治療は,TIOにおける腫瘍摘除術を除き,活性型ビタミンD製剤とリン製剤による対症療法のみであり,FGF23の作用過剰を直接是正する抗FGF23抗体の効果が期待されている。
X連鎖性低リン血症 (XLH) の 現状と抗FGF23抗体療法 ―小児患者について―
大薗 恵一 先生
大阪大学大学院医学系研究科小児科学講座 教授
Pharma Medica 37(6):71-75, 2019
線維芽細胞増殖因子23 (fibroblast growth factor-23:FGF23) の作用過剰に基づく,小児のX連鎖性低リン血症 (X-linked dominant hypophosphatemia:XLH) は,くる病を惹起して,低身長などの成長障害,O脚,X脚などの骨変形,病的骨折などを引き起こす。XLHの治療は従来療法として,経口リン製剤と活性型ビタミンD₃製剤との併用による補充療法が施行されてきたが,病因に基づく治療ではないため根治療法ではないことや,副作用発現の懸念があった。近年,抗FGF23抗体製剤がXLHの治療薬として欧米で登場し,その臨床における有用性が注目されている。