論文・記事一覧
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.3 17-22, 2008より
【特集 切除不能進行・再発大腸癌の治療~分子標的薬と最新癌化学療法を中心に】
トランスレーショナル研究と分子標的治療薬の根拠
田村大介 / 西尾 和人
「Summary」 大腸癌をはじめとして, 種々のがん種において分子標的治療薬が標準的治療の一翼を担うようになってきている. これら分子標的治療薬はその根拠となるさまざまな基礎研究の結果に基づいている. そして臨床で使用される中では, その副作用の問題, コストの問題など新しい問題も起こってきている. これらの問題を解決するためには, 臨床試験のデータと基礎研究のデータのさらなる集積が必要である. 今後の分子標的治療薬のさらなる進歩には, トランスレーショナル研究が担う役割が大きい. 「はじめに」 がん分子標的治療薬が臨床導入され, 種々のがん種において, 標準的治療としての一翼を担うようになってきている. 分子標的治療薬は, “はじめに標的分子”ありきで, 標的の同定, 選択, スクリーニング, 非臨床試験などを経て, 臨床導入される. 現在, 大腸癌治療の領域において臨床応用されている分子標的治療薬としては, 抗VEGF(vascular endothelial growth factor:血管内皮細胞増殖因子)抗体, 抗EGFR(epidermal growth factor receptor:上皮増殖因子受容体)抗体がある.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.3 10-16, 2008より
【特集 切除不能進行・再発大腸癌の治療~分子標的薬と最新癌化学療法を中心に】
総論
遠藤慎治 / 森脇俊和 / 兵頭一之介
「Summary」 近年, 欧米を中心として, 大腸癌に対する化学療法は急速に進歩してきた. わが国においても, 2005年FOLFOXおよびFOLFIRI療法が保険承認を得て以降, 切除不能進行・再発結腸直腸癌に対する標準的治療は大きく様変わりし, 生存期間中央値も2年を超える時代となった. また, 最近の抗体医薬を含む分子標的治療薬の登場により, 従来の化学療法による抗腫瘍効果にさらなる上乗せ効果が, さまざまな臨床試験において示されている. 一方, 分子標的治療薬は従来の化学療法薬には認められない特異な有害事象が多く, その使用に当たっては十分な注意が必要となる. 2007年にbevacizumabが承認されたのに続き, 2008年7月には新たな抗体医薬品としてEGFR抗体であるcetuximabも承認された. 今後はどのような症例にどのようなregimenを投与していくかという治療戦略の決定がさらに重要になると思われる.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.2 80-81, 2008より
【特集 大腸SM癌の治療】
No.4 人工肛門(ストーマ)とはどのようなものですか? また,日常生活における注意点を教えて下さい。
山田 一隆
「Question」人工肛門(ストーマ)とはどのようなものですか?また, 日常生活における注意点を教えて下さい. 「Answer」ストーマとは消化管や尿路を人為的に体外に誘導した開放孔であり, 人工肛門は消化管ストーマのことです. ストーマからの排便による不利益や合併症への対策が重要です. 「消化管ストーマの概念と種類」人工肛門(artificial anus)という用語が使用された歴史は長いのです. しかし, 「人工」という用語が人工臓器的な誤解を与えることや, 肛門が本来もつ括約筋機能などを有しているかのような誤解を与えるために, ストーマという用語が一般的に使用されるようになっています. 消化管ストーマを必要とする疾患としては直腸癌・肛門癌が最も多いのですが, 結腸癌や他の悪性腫瘍でもストーマ造設が行われることがあります. さらに, 潰瘍性大腸炎・クローン病・家族性大腸腺腫症・放射線直腸炎などの良性疾患や, 消化管吻合後の縫合不全などでもストーマ造設が行われることがあります.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.2 76-79, 2008より
【特集 大腸SM癌の治療】
No.3 最近良く耳にする,オキサリプラチンによる末梢神経障害について教えて下さい。
吉田元樹 / 瀧内比呂也
「Question」最近よく耳にする, オキサリプラチンによる末梢神経障害について教えて下さい. 「Answer」大腸癌化学療法に適応のある薬剤では, オキサリプラチンによる蓄積性の神経毒性として, 感覚性末梢神経障害が出現し, 寒冷刺激により増悪することがよく知られており, 通常は可逆性変化と考えられています. 対処法としては, まず寒冷刺激への暴露予防を行い, 機能障害出現前にオキサリプラチンを減量や休薬します. 治療終了後は時間の経過とともに徐々に改善しますが, 回復には数ヵ月~数年を要する場合があります. 「背景」オキサリプラチン(oxaliplatin;L-OHP)は生体内変換体[ジクロロ1, 2-ジアミノシクロヘキサン(DACH)白金, モノアクオモノクロロDACH白金, ジアクオDACH白金]を形成し, 癌細胞内のDNA鎖内および鎖間の両者に白金DNA架橋を形成します. これらの架橋がDNAの複製および転写を阻害し, 抗腫瘍効果を発揮する第3世代の白金鎖体抗悪性腫瘍剤といわれています.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.2 70-75, 2008より
【特集 大腸SM癌の治療】
消化管をみつめ続けるパイオニア
八尾恒良 / 藤盛 孝博
「消化管をみつめ続けるパイオニア~診断学をめぐる全体と部分~」昨今の大腸癌診療における診断技術の向上は目覚ましい. 内視鏡の進歩は癌の早期発見を容易にし, 遺伝子研究の分野では癌の発生そのものを解明しようとしている. 大腸癌診断はまさにミクロの時代に突入したといえる. しかし, 高度専門化する技術は臨床医の診断能力に差をつけ, 診断のぶれを生じさせてもいる. そんな風潮に対し“診断には形態学が血の道に勝る”と信念をもって警鐘をならし, マクロとミクロの対比による消化管形態学を啓発し続ける消化管診断の第一人者, 佐田病院名誉院長の八尾恒良氏に, その信念を生んだ背景, そしてこれからの消化管診断学に対する思いを聞いた. 「藤盛」今回このインタビューのお話をいただいたときに, 臨床医としての僕の大先輩といったらこの人しかいない, ということで消化管形態学の大家である八尾恒良先生を推薦させていただきました. まずは, なぜ消化器に興味をもたれたのか, ということについてお聞かせ願えますか.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.2 65-69, 2008より
【特集 大腸SM癌の治療】
遺伝子多型とは何でしょうか?大腸癌発生に遺伝子多型は関与しますか?
井上裕 / 森 正樹
「Summary」ヒトの疾患(common disease)に関連する遺伝子群を包括的に探索する目的で, 全ゲノム遺伝子多型解析が世界中で行われはじめた. 多型解析とは「ある疾患関連遺伝子があり, そのそばに多型部位が存在すれば, 決まってその多型はその疾患と連動するはずだ」という基本原理に基づいた解析法である. 2007年以降, 大腸癌においても報告が相次ぎ, 現在まで6箇所の多型が有力な発症候補とされている. これらの多型に関連する遺伝子候補も報告されるようになった. 全ゲノム遺伝子多型解析法はきわめて有効な遺伝子探索法であると考えられる. 「はじめに」遺伝子多型を手がかりに癌の原因遺伝子に迫る研究が近年盛んに行われており, いくつかの大きな研究成果が報告されはじめた. ある個人間の遺伝子の配列情報を比較していき, 異なった配列がみつかればそれは遺伝子多型と呼ばれるが, このバリエーションには無数の組み合わせが存在する. 一般には, ゲノム上数百塩基に一つの頻度で多型は存在するといわれている.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.2 54-58, 2008より
【特集 大腸SM癌の治療】
大腸癌の微小リンパ節転移(ITC)の臨床的意義
味岡 洋一 / 島田能史
「Summary」旧来の微小転移は, “HE標本による組織検索では検出できない癌の転移”から「HE標本で認識可能な0.2mm未満の癌細胞集団」にその定義が変更され, isolated tumor cell(ITC)の名称が当てられている. 大腸進行癌ITCの臨床的意義についてはこれまで多くの検討がなされているが, 統一的見解は得られていない. 筆者らのデータではITC陽性リンパ節3個以上の症例は, 2個未満に比べ有意に予後不良であった. 大腸SM癌でもその15%前後にはITCが存在する. これまでSM癌のITCと予後との関連を検討した報告はないが, ITCと相関する原発巣SM癌の病理組織学的因子を検討することで, 内視鏡的切除SM癌の治療方針を決定する有用な情報が得られる可能性がある. 低異型度癌, SM垂直浸潤距離850μm未満の病変はITC陰性であり, これらの癌は内視鏡的切除でのより確実な根治が期待される. 「はじめに」リンパ節転移は大腸癌患者の生命予後を左右する重要な因子であり, 従来その同定はHE標本による病理学的検索によりなされてきた.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.2 49-53, 2008より
【特集 大腸SM癌の治療】
大腸SM癌のリンパ節転移・遠隔転移と予後
斉藤裕輔 / 垂石正樹 / 藤谷幹浩 / 稲場勇平 / 折居裕 / 太田智之 / 渡二郎
「Summary」単発早期大腸癌1,382病変(M癌:970病変, SM癌:412病変)について, リンパ節転移率, 遠隔転移率, 生命予後, 内視鏡治療の根治率について検討した. M癌およびSM垂直浸潤距離1,000μm未満のSM-s癌においてはリンパ骨転移は認めなかった. 一方, SM垂直浸潤距離1,000μm以上のSM-m癌におけるリンパ節転移率は12.6%であった. 遠隔転移例は2例, 0.14%であり, いずれも死亡している. 早期大腸癌における原病死はこれら2例のみであり, 早期大腸癌の生命予後は99.9%と良好であった. 初回内視鏡治療を施行した1,011病変中, 初回内視鏡治療で根治が得られたものは918病変(90.8%)であった. 一方, 内視鏡治療後再発をみたものは22病変(2.2%), 内視鏡治療後外科手術を行ったものは71病変(7.0%)であった. 内視鏡治療後再発例22病変中, 19病変は再内視鏡治療により根治が得られ, 追加外科手術が必要であったものは3例であった. したがって, 早期大腸癌に対する内視鏡治療の根治度は, 再内視鏡治療も含めると, 92.7%と高率であった.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.2 44-48, 2008より
【特集 大腸SM癌の治療】
直腸SM癌の治療方針
渡邉 聡明
「Summary」直腸SM癌の治療では, 局所切除術あるいは腸管切除術が行われる. 局所切除術には, 内視鏡的摘除術と外科的局所切除術がある. 外科的局所切除術は, 経肛門的切除術, 経仙骨的切除術, 経括約筋的切除術があるが, 近年はTEM, MITASなどの術式が行われ, 経仙骨的, 経括約筋的切除術の適応が縮小している. リンパ節転移が疑われる場合には, リンパ節郭清を伴った腸管切除術が行われる. 適応となる術式は, 吻合を行う場合から, 永久人工肛門を造設する腹会陰式直腸切断術までさまざまである. 近年はintersphincteric resection(ISR)を行う施設が増えており, 永久人工肛門を回避する努力が払われている. 「はじめに」直腸pSM癌(SM癌)にはリンパ節転移のリスクがあり, 腫瘍が局所的に完全に切除されても, 病変によってはリンパ節郭清を伴った腸切除が必要となる. また, SM層への深部浸潤が疑われる症例では最初から外科治療の適応となる. 外科治療では, 内視鏡的治療が可能な場合から, 腸管切除術を必要とする場合, さらには永久人工肛門の造設が必要となる場合まで, 病変によりきわめて治療法が異なる点が特徴である.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.2 35-39, 2008より
【特集 大腸SM癌の治療】
大腸SM癌の内視鏡的切除後の根治度判定
山岸秀嗣 / 福井広一 / 加藤洋 / 藤盛 孝博
「Summary」内視鏡診断・治療技術がめまぐるしく進歩している. それによって, 早期大腸癌の検出がより可能となり, pSM癌においても内視鏡治療の適応であると考えられ, 大腸癌研究会を中心にpSM癌の取り扱い方について論議がなされてきた. 『sm癌取扱いプロジェクト委員会』から, SM浸潤距離1,000μm以深への浸潤がリンパ節転移を予測する危険因子の一つであることが報告された. また, SM浸潤距離に簇出のデータを加えることで, さらにリンパ節転移を予測する精度を向上させることが示された. しかし, 内視鏡医による肉眼診断や病理医による組織診断はさまざまであるため, 早急な均てん化が必要である. 「はじめに」近年, 内視鏡診断・治療の進歩により, 早期大腸癌の検出がより可能になってきた. そのため, 元来は外科的切除が必要であった大腸pSM癌においても, かなりの症例で内視鏡治療の適応が可能であるとの議論が起きている. 現在, pSM癌の取り扱い方についての治療戦略におけるコンセンサスを確立するため, 大腸癌研究会を中心に検討されている.