論文・記事一覧
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 39-43, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
直腸癌局所再発の治療
高橋慶一 / 松本寛 / 山口達郎
「Summary」直腸癌局所再発率は, TMEの普及により10%以下に減少した. しかし, 外科的切除を積極的に行っても必ずしも延命に寄与できていない. 大腸癌治療ガイドラインでは, 切除可能なら切除することを推奨しているが, 術前に治癒的切除が可能かどうか画像で徹底的に評価し, 治療方法を選択することは重要である. 非治癒的切除例の予後は非切除例の予後と同等で, 術前の画像診断で, 合併切除を行っても剥離断端が陽性となる症例は, 外科的切除の適応外であると判断すべきである. 治癒的切除が不可能な場合は, 化学放射線療法が化学療法や放射線療法単独よりも予後の改善を認める. 切除不能局所再発に対する重粒子線治療は, 外科的切除と同等の局所制御率を示し, 新たな治療戦略になる可能性がある. 「はじめに」直腸癌の局所再発率は20~30%の時代から, TME(total mesorectal excision;直腸間膜全切除)の普及により現在では10%前後で, 世界的には減少した1-3).
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 30-33, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
Stage Ⅳ大腸癌の治療
手塚徹 / 幸田 圭史 / 安田秀喜
「Summary」急増している大腸癌の中でもstage IV大腸癌の治療方針は, 原発巣の取扱いのみならず, 多岐にわたる転移臓器の取扱いをめぐって, 各施設間でいまだに統一の治療が施されていないのが現状と思われる. 2005年7月に出版された大腸癌治療ガイドラインは, この施設間格差をなくす目的で制作されたものであり, 特に集学的治療が必要なstage IV大腸癌の治療方針は, 血行性転移の項目も含めて, 蓄積されたデータに基づいており, きわめて重要な提言である. 本稿では, 大腸癌治療ガイドラインで示されたstage IV大腸癌の治療方針を文献をまじえ解説し考察を加えた. 「はじめに」大腸癌取扱い規約第7版1)においてstage IV大腸癌は, 原発巣の壁深達度とは無関係に, 肝転移(H1~3), 肝以外の遠隔転移(M1), 腹膜転移(P1~3), 以上が単独あるいは重複して原発巣と同時に伴っているものと規定されている.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 26-29, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
大腸癌の手術治療
板橋道朗 / 廣澤知一郎 / 小川真平 / 亀岡信悟
「Summary」大腸癌手術におけるリンパ節郭清は, 術前画像診断あるいは術中所見による腫瘍の壁深達度およびリンパ節転移度から決定する. リンパ節転移を疑った場合には, 壁深達度に関係なくD3郭清を行う. リンパ節転移を認めない場合には, 壁深達度に応じてリンパ節郭清度を決定する. 直腸癌では局所再発を減少させるため, 一定距離の肛門側直腸間膜切除(tumor specific mesorectal excision;TSME)を行えばよい. 側方リンパ節郭清の適応は, 腫瘍下縁が腹膜反転部より肛門側にあり, かつ直腸壁を貫通しているものである. 側方郭清により局所コントロールだけではなく生存率も向上する. 自律神経温存術では, 神経の温存と保存可能な排尿・性機能には関連がある. stageIまでの進行度であれば, 腹腔鏡補助下手術のよい適応と考えられる. ガイドラインでは標準的治療が呈示されているが, 臨床では患者の状況にあわせて治療法を選択する.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 17-25, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
大腸癌の内視鏡治療
斎藤 豊 / 松田尚久 / 中島健 / 菊地剛 / 桐山真典 / 池原久朝 / 浦岡 俊夫
「Summary」早期大腸癌においては, 通常内視鏡診断および拡大内視鏡診断にて, SM深部浸潤所見のない病変が内視鏡治療の適応となる. 20mm未満の病変では肉眼型にかかわらず, またIp型病変では20mm以上の病変においても通常ポリペクトミーあるいは内視鏡的粘膜切除術(EMR)にて一括切除が可能である. 一方, 表面型病変では20mmを超えると通常EMRでは分割切除となる場合が多い. 中でも側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor;LST)では, 肉眼型の亜分類によりSM浸潤率・様式も異なってくるため, 治療方針を考える上で注意すべき病変である. 現行ガイドラインにおいては20mmが, 内視鏡治療と外科手術の境界病変となっているが, 熟練医あるいは専門施設においては通常EMRと計画的分割切除(EPMR)あるいは内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を選択する際の境界となっている.
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大腸癌FRONTIER Vol.1 No.1 12-16, 2008より
【特集 大腸癌治療ガイドラインをめぐって】
総論
固武 健二郎
「Summary」2005年7月に出版された大腸癌治療ガイドラインは, 増加の一途を辿る大腸癌に対する国民的な関心の高まりに加えて, 診療ガイドラインへの行政の後押しも相俟って, 大腸癌の診療に従事する医師に広く普及してきた. 本ガイドラインの「総論」には, ガイドラインの目的, 作成の基本方針, 作成と改訂, 公開, 利用について簡潔かつ明確に記述されている. 本稿は, 「総論」の概要, ガイドライン作成の経緯, および2009年の出版を目指して進捗中の改訂作業における問題点に触れながら本ガイドラインの役割を概説した. 本ガイドラインが目指す到達点は大腸癌死亡の減少である. その検証にはがん登録によるアウトカムの計測が不可欠であり, 登録システムのインフラ整備が急務である. 「はじめに」わが国の大腸癌の増加に歯止めがかからない. 大腸癌の死亡率は, 全悪性新生物の中で, 女性では胃癌を抜いて第1位, 男性でも第4位と高率であり1), すでに多くの欧米諸国を凌駕している2).