<< 一覧に戻る

肝性浮腫―病態・診断・薬物療法

使用経験 難治性腹水合併肝硬変(LC)に対するトルバプタンの効果―腹水濾過濃縮再静注法(CART)との比較を含めて―

The treatment of hepatic edema (ascites) "tolvaptan vs CART -evaluation of safety-"

石原知明岩佐元雄

Fluid Management Renaissance Vol.4 Suppl., 78-84, 2014

「Summary」現在,肝硬変による胸腹水に対し安静,減塩,利尿薬などの治療が行われており,一般的にはこれらの治療に反応し,軽快する症例も多い。しかし,治療に反応せず穿刺排液を余儀なくされる症例もみられ,腹部膨満感や呼吸困難により生活の質(QOL)の低下をきたすこともある。胸腹水は穿刺排液後もしばしば再貯留し,このような症例に対しては経頸静脈肝内脈門大循環シャント術(TIPS),腹腔・静脈シャント造設術が検討されるが,これらは手技に熟練を要することもあり,汎用性に乏しい。一方,腹水濾過濃縮再静注法(CART)は,低侵襲で施行直後から苦痛を軽減する治療法である。当院では早期からCARTを施行しており,CART後,長期に再穿刺を要しなかった症例や高度肝不全ながら良好なQOLを維持した症例を経験した。さらに2013年より,バソプレシンV2受容体拮抗薬のトルバプタンが肝性浮腫に使用可能となり治療の選択肢に加えたところ,CART,トルバプタンともに安全に施行可能で,低Na例,軽度腎障害例はトルバプタンのよい適応と考えられた。トルバプタンには不応例が存在し,CARTは施行後速やかに苦痛の軽減が得られ,今後は症例の状態に応じた使い分けやトルバプタンとの併用について検討する必要がある。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る