本論文「Revised criteria for diagnosis and staging of Alzheimer's disease(アルツハイマー病の診断および病期分類の改訂基準)」は,アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)の診断と病期分類の考え方を刷新し,今後の神経変性疾患研究全体に影響を及ぼす重要な提言を行っており,米国国立老化研究所(National Institute on Aging:NIA)-アルツハイマー病協会(Alzheimer Association:AA)2024改訂基準と呼ばれる1)。最大の特徴は,ADを「臨床的症候(clinical symptoms)」ではなく「生物学的過程(biological process)」として定義した点にある。すなわち,無症候期であっても,アミロイドβ(amyloid β:Aβ)とタウの異常蓄積を中核とするアルツハイマー病病理変化(Alzheimer's disease neuropathologic change:ADNPC)が生じた段階で,すでにADは存在するという立場を明確に示した。このADの生物学的定義は,「疾患は病理学的過程によって定義される」という腫瘍学の原則と同様であり,今後の神経変性疾患全体における臨床神経学と神経病理学,基礎研究をつなぐ共通概念としてきわめて意義深いものであるといえる。