嗜銀顆粒病/嗜銀顆粒性認知症(argyrophilic grain disease:AGD)は,高齢者に多いタウオパチーの一種であり,アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)やレビー小体病(Lewy body disease:LBD)に次いで頻度の高い病態とされる1)。臨床的には高齢発症の緩徐に進行する認知症として発症することが多いが,症状は必ずしも特異的ではなく,ADとの鑑別が困難な場合も少なくない。本邦では,抗アミロイドβ(amyloid β:Aβ)抗体薬が臨床実装され,ADに対する疾患修飾療法が治療の選択肢の1つとして位置付けられている。そのため,ADと非ADをより正確に鑑別することの重要性がこれまで以上に高まっており,これは治療適応の可否に直結する。高齢者で頻度が増加するAGDは,生前診断を確定するバイオマーカーが確立されていないため,その理解を深めることは臨床診断の精度向上に寄与する。本稿ではAGDの病理,臨床的特徴,画像所見を概説する。