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肝性浮腫―病態・診断・薬物療法

総論 肝硬変に対する利尿薬治療における腎生理

Renal physiology on diuretics treatment in liver cirrhosis

森建文小泉賢治佐藤真一大場郁子伊藤貞嘉

Fluid Management Renaissance Vol.4 Suppl., 37-46, 2014

「Summary」肝硬変の病態では腎血流や血清アルブミン値の低下などによりループ利尿薬抵抗性であり,しばしば高用量のループ利尿薬を要した。肝硬変ではレニン-アンジオテンシン系やバソプレシン,カテコラミンなどの臓器障害性の体液因子の賦活があるが,ループ利尿薬はこれらをさらに賦活させ,腎血流の低下による障害が懸念されている。また,ループ利尿薬は血中アンモニア濃度の上昇をもたらし,肝性昏睡を助長させる可能性もある。バソプレシンV2受容体拮抗薬トルバプタンは心腎不全や肝硬変などの病態でも効果のある薬剤であることが報告されている。しかしながら,ループ利尿薬の使用により腎間質の浸透圧が低下した症例ではトルバプタン抵抗性となる可能性がある。尿浸透圧は腎間質浸透圧の変動を表しており,尿浸透圧の評価によりトルバプタンの効果を推測できる。トルバプタンは腎血流を増やす作用があり,腎保護効果が報告されている。肝硬変では門脈圧亢進による脾腎シャントや胃腎シャントにより腎静脈圧が高まり,腎うっ血を呈している可能性がある。トルバプタンは臓器障害性の体液因子を賦活しにくいほか,血圧などの循環動態が安定し,腎間質圧を是正し腎うっ血の改善が推測できる薬剤であり,肝硬変でも心腎を含めた臓器保護効果が期待できる。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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