Ⅰ.再生医工学のための材料工学・加工技術の最前線
セルプロセッシングにおける増殖シミュレータ
再生医療 Vol.7 No.2, 38-42, 2008
「はじめに」二次元的, 三次元的な組織培養は, 一般に, 液相, 気相, 固相が存在する不均一な“場”において行われることが多く, これらの“場”においては, 栄養分や細胞自身の放出する増殖因子, サイトカインなどの物質拡散, 培養面に対する細胞の吸着特性などを考慮に入れる必要がある. 特に, ゲルなどの足場を用いた三次元的な培養組織内では, 栄養分(特に溶存酸素)の拡散や集塊形成した細胞の摂取による栄養分の枯渇などが生じ, 細胞分布の不均一性を考慮する必要がある. また, 商業レベルでの組織生産を考えた場合, 培養工程の最適制御や細胞増殖に対する定量的, 速度論的な解析を欠かすことはできず, 組織再生の現場においては培養工学的な技術開発に対するニーズは非常に高い. しかし, 培養組織の生産過程において, 細胞特性の定量的評価が欠除しており, 有効な指標パラメータが存在しないのが現状である. 増殖シミュレータは, 培養工程を評価するだけではなく, パラメータの提示により, 培養組織の質を規定する品質評価への展開が考えられ, 重要な技術の1つである.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。