<< 一覧に戻る

Ⅰ.再生医工学のための材料工学・加工技術の最前線

弾性体としての細胞外マトリクスと細胞機能の力学的制御

原田伊知郎

再生医療 Vol.7 No.2, 32-37, 2008

「はじめに」再生医療の飛躍的な発展に伴い, 今あらためて細胞外マトリクス(extracellular matrix:ECM)が注目されるようになってきた. それは, 細胞をソースとした研究分野では, 生体外(in vitro)に取り出した細胞の増殖や分化の機能を思いのままに制御することが, いわば究極的な目標であり, そのためには生体内における細胞外環境を見直す必要が出てきたためである. とりわけ近年, 個体発生, 臓器(組織)形成の分子シナリオが解読されていくに伴い, 細胞の足場としてのECMの果たす役割の重要性が指摘されつつある. 現在まで明らかにされてきたECMの種類の豊富さに加えて, それぞれが異なるシグナルを誘起することからも, ECMはもはや単なる足場ではなく, サイトカインなどの液性因子と同等レベルで捉えるべき細胞機能制御分子であるといっても過言ではないであろう. さらに, 生体内にあるECMは見事なほどに制御された構造体を形成することから, ECMの生理的機能は単なるリガンドだけでないことも明らかである.

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る