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侵襲をめぐるQ&A

(サイトカイン)Q 抗炎症性サイトカインにはどのようなものがあり,侵襲に対する生体反応の過程でそれぞれどのような役割を果たしているのですか?

北島吉彦宮﨑耕治

Surgery Frontier Vol.13 No.4, 104-108, 2006

A はじめに systemic inflammatory response syndrome(SIRS)は, 侵襲によって全身的に炎症反応が活発となった状況で, 放置すれば多臓器不全をきたしうる危険な病態であることが知られている1). また, SIRSの成立にはIL-1β, TNF-α, IL-6, G-CSF, GM-CSFなど炎症性サイトカインの過剰産生が原因となっていることも明らかにされている1)2). 一方, SIRSにおいては, 炎症性サイトカインの作用に拮抗する抗炎症性サイトカインも誘導されており, 侵襲に対するホメオスタシス維持に寄与しているとされる(図1)2). さらに, Boneらは, SIRSに対抗して, 抗炎症性サイトカイン優位な状態をcompensatory anti-inflammatory response syndrome(CARS)と名付け, CARS優位であれば免疫能の低下, 易感染性となり, やはり多臓器不全の誘因となりうる病態であるとしている(図D2)3). さらに, 多臓器不全に至る経路として, SIRSの後, 一過性にmixed anti-inflammatory response syndrome(MARS)を生じ, CARSを経て多臓器不全に陥る仮説も提唱している3). 本稿では, 抗炎症性サイトカインにはどのようなものがあり, 侵襲における動態とその役割について概説したい.

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