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麻酔の質の向上を目指して

薬剤の作用機序と役割 スガマデックス(Org25969)

―これからの筋弛緩薬拮抗のかたち―

尾崎眞

Pharma Medica Vol.25 No.8, 25-29, 2007

I. 筋弛緩薬とその作用の拮抗 スガマデックスは, 新しい形での非脱分極性筋弛緩薬の作用の拮抗を提供してくれる薬剤だ. その説明をする前に, 神経筋接合部における筋収縮がどのように引き起こされるのか定性的に概括する. 図1に神経筋接合部を簡単に図示した. 筋弛緩薬は, この図1の神経筋接合部内で, 運動神経から骨格筋への興奮伝導を遮断することにより筋弛緩作用を発現する. 骨格筋以外は弛緩させない. この遮断は, 実際のところ神経伝達物質であるアセチルコリンとの競合拮抗による. したがって, この筋弛緩薬の作用に拮抗するために現在の日本の臨床現場では, アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(最もよく使われているのは, ネオスチグミン)を投与する. これによりアセチルコリンの分解を抑え, 筋弛緩薬の競合相手であるアセチルコリンの量を増やすことによって, ニコチン性アセチルコリン受容体での筋弛緩薬との競合に打ち勝ち, 筋弛緩薬に拮抗している. ところがこの方法は, アセチルコリンの増加量に限界が存在するため, 深い筋弛緩状態では拮抗が困難である. また同時に神経筋接合部以外のアセチルコリンも増加させてしまうため, 副交感神経作用(徐脈, 気管支収縮, 分泌物増加など)が出現する結果となる. そこで, より特異的に非脱分極性筋弛緩薬そのものに, 直接的に拮抗する薬剤として開発されたのがスガマデックスだ.

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