近年，美容医療は身近な存在となり，シミを主訴に受診する患者も増えた．患者が訴える「シミ」には日光黒子（老人性色素斑），肝斑，雀卵斑，後天性真皮メラノサイトーシス，炎症後色素沈着，脂漏性角化症，単純黒子，色素性母斑，外傷性刺青などの良性疾患に加え，日光角化症のような前癌病変，悪性黒色腫，基底細胞癌などの悪性疾患が含まれることもまれではない．皮膚科医は臨床所見，ダーモスコピーや皮膚生検などの検査を用いて正しく診断し，適切な治療を選択する必要がある． 本稿では，シミの正しい診断と，治療効果の得やすいシミの特徴とその治療について解説する．