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「一億総医療人計画」 一般市民の医療リテラシー向上による健康でサステナブルな未来社会
清水 達也 先生
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 所長・教授

専門家中心医療の限界と市民参加の必然性
現在私たち(未来医学研究会)は、活動の一つとして一般市民の医療リテラシーの向上による共創型の医療を目指した「一億総医療人計画」を開始しています。
近年、超高齢化社会の進展、医療需要/経費の増大、医療従事者の不足により、「医療は専門家だけが担うもの」という従来の枠組みは限界に近づいています。内科医師として診療に携わるなかで感じるのは、適切な医療教育と情報提供があれば、一般の方々が十分に担える健康管理や予防対策が多いという事実です。さらに、ある程度までの診断や治療選択も可能ではないかと考えています。例えば、COVID-19の感染拡大時には、感染対策、酸素モニター、ワクチン接種、病院受診の可否などを個々が主体的に判断・実施せざるをえず、社会全体が「医療に参加する」状況となりました。この経験は、一般市民一人一人が医療の受け手であると同時に担い手にもなりうることを示しています。さらにスマートウォッチなど生体情報モニタリングデバイスの家電化、AI支援の発展はめざましく、技術的には近い将来、一般市民が超音波診断装置などの医療機器を家庭内で扱うことも不可能ではないと考えます。

共創型医療への転換と「一億総医療人計画」の展望
「一億総医療人計画」とは、専門性の軽視ではなく、医療リテラシーを社会基盤として共有し、ともに創る「共創型医療」への転換を目指すものです。予防、自己(家庭内)診断、早期対応、データ共有などを通じて医療の負荷を分散することで、サステナブルな医療、より健康な社会を実現できるものと考えています。法規制、責任の所在、医師のタスクシフト、医療サイドの収益など考慮すべき課題もありますが、その先には、医療従事者だけでなく社会全体が互いの健康を支え合う、新しい公共性が生まれるものと考えます。現在、医療関係者やアカデミアそして企業人の有志が集まり、この「一億総医療人計画」を推進するべく活動を開始しています。皆様も一緒に未来の医療を創りませんか。
【一般社団法人 未来医学研究会】
東京女子医科大学先端生命医科学研究所が運営する社会人に対する医学教育「バイオメディカル・カリキュラム」修了生の卒後交流の場として1978年に発足。2009年に一般社団法人化し、修了生に加え未来医学・医療に関心を持つ方の参加を可とし、現在の先端医学・医療のさらに先にある未来の医学・医療について予想し、生じうる課題に対する解決策を議論している。
https://www.twmu.ac.jp/ABMES/SFM/
略歴
清水 達也
| 1992年 | 東京大学医学部医学科卒業 |
| 2011年 | 東京女子医科大学先端生命医科学研究所 教授 |
| 2016年 | 東京女子医科大学先端生命医科学研究所 所長 |




