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「健康な子どもを診る」 これからの小児科医に求められること
永光 信一郎 先生
福岡大学医学部小児科学講座 主任教授
研修医教育の中で常に、「病気の子どもを診る」ことを教えられてきた私たち小児科医は、医療提供体制の大きなパラダイムシフトに今、直面しています。急性期疾患の治療進歩と予防接種の普及から、感染症を主体とした診療は減少する中で、生活習慣病、メンタルヘルス疾患、虐待診療、慢性疾患のケアや、子育てへの支援などが、小児医療の中でも大きくクローズアップされてくるようになりました。
小児科医療のパラダイムシフト
研修医教育の中で常に、「病気の子どもを診る」ことを教えられてきた私たち小児科医は、医療提供体制の大きなパラダイムシフトに今、直面しています。急性期疾患の治療進歩と予防接種の普及から、感染症を主体とした診療は減少する中で、生活習慣病、メンタルヘルス疾患、虐待診療、慢性疾患のケアや、子育てへの支援などが、小児医療の中でも大きくクローズアップされてくるようになりました。医師国家試験における頻出問題は公衆衛生分野が最も多く、医学生は疾病予防や疫学について多くのことを学びますが、医師になると目の前の病気の診療に専念することになり、公衆衛生学的な視点に触れることがなくなっていきます。多くの患者を治療しても、つぎつぎと同じ病気の患者が目の前に現れることを経験して未病対策の大切さに改めて気づきます。
健康な子どもへの保健指導の重要性
乳幼児期の不適切な睡眠習慣(短時間睡眠等)は、学童・思春期の落ち着きのなさや、情緒の不安定をきたします。いじめは多くの子どもが加害・被害の経験をする中、いじめの早期発見以上に、いじめを見つけたとき、されたときにどう行動するのか、アドバイスを受けることが大切です。望まぬ妊娠をしたとき、誰に相談をしたらいいのか教えてもらうことも必要です。つまり、誰にでも、心身の不調をきたすような出来事を経験する機会と、病気になる機会があります。病気になってからではなく、病気になる前の健康なときから、医療者から保健指導を受けることが大切です。「病気の子どもを診る」視点と、保健指導のために、「健康な子どもを診る」視点が、私たち小児科医には求められています。
略歴
永光 信一郎(Shinichiro Nagamitsu)
| 1990年 | 福岡大学医学部 卒業 |
| 1994年 | 久留米大学大学大学院医学科 卒業 |
| 1998年(3年間) | 米国ベイラー医科大学神経内科 留学 |
| 2007年10月 | 久留米大学医学部小児科学講座 講師 |
| 2013年12月 | 久留米大学医学部小児科学講座 准教授 |
| 2021年4月〜現在 | 福岡大学医学部小児科学講座 主任教授 |
| 2025年12月〜現在 | 福岡大学病院 副病院長 |

