こどもの「こえ」を社会の力に アドボカシーの実践のために
こどもの「こえ」に気付く
こどもの医療に関わる専門職は、こどもの「こえ」を直接聴ける立場にあるからこそ、彼らが抱える潜在的な課題にいち早く気付くことができます。しかし、医療の枠内で解決できない課題も少なくありません。こうした課題を広く社会と共有し、ともに解決を目指す活動がアドボカシーです。
社会へつなげるための実践
アドボカシーの実践には、「こえを聴くこと」と「社会へつなげること」の2つが重要になります。
まずアドボカシーの起点となる「こえ」を聴く際に、医療現場という特殊な環境がこどもにも与える影響を忘れてはいけません。入院生活という非日常の中で、自分でコントロールできる幅が少なくなっています。自己コントロール感が少ない中で出てくるこどものこえは、本当のこえとは言えないかもしれません。大人はこどもを無意識にコントロールしようとしてしまう危険性があります。大人が主導権を握りすぎず、こどもの歩みに合わせて「待つ」など、彼らが自己コントロール感を持てる関わりを積み重ねて初めて、真の想いに触れることができるのではないかと考えます。
次に、すくい上げた課題を社会へつなぐためには、専門領域を超えたステークホルダーとの協働が不可欠です。想いを伝える際は、個別の「ものがたり」を大切にしながらも、地域の「こども計画」や既存の社会資源といった客観的な状況と照らし合わせる工夫が求められます。自身の直面している課題を地域の重点施策と結びつけ、共通の言語で語ることで、周囲を巻き込む力はより強固になります。
こどもの傍にいる専門職だけが知っている「ものがたり」には、社会を変える確かな力が宿っています。その一歩を、ここから共に踏み出しましょう。
略歴
余谷 暢之(Nobuyuki Yotani)
| 2004年 | 大阪市立大学医学部 卒業 |
| 2014年 | 大阪市立大学大学院博士課程(公衆衛生学)修了 |
現在は小児専門病院にて、疾患や場所を問わない専門的緩和ケアの提供に尽力。
臨床の傍ら、国内外での小児緩和ケアの普及・啓発や、日本における小児医療アドボカシー活動の推進に精力的に取り組んでいる。

