巻頭言
再生医療と安全性
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- 掲載誌
- 再生医療 Vol.12 No.4 1, 2013
- 著者名
- 西原祥子
- 記事体裁
- 抄録
- 疾患領域
- 再生医療
- 診療科目
- 循環器内科 / 心臓血管外科 / 脳神経外科 / 整形外科 / 腎臓内科 / 皮膚科 / 泌尿器科 / 眼科 / 血液内科 / 消化器外科
- 媒体
- 再生医療
「再生医療推進法」が2013年4月26日に議員立法として成立し, それに引き続き「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(安全性確保法)」や「医薬品, 医療機器等の品質, 有効性及び安全性の確保等に関する法律(改正薬事法)」の成立に向けて準備が進められている. iPS細胞の世界初の臨床実験が厚生労働大臣により7月19日に正式承認され, 再生医療の実現がいよいよ身近なものとなってきた. 岡野光夫理事長をはじめとする関係者の先生方の情熱には, 頭の下がる思いである. 現在も本学会の再生医療推進戦略委員会(澤芳樹委員長)で, 「安全性確保法」をより具体的に安全に遂行するための提言が検討されている. 細胞や組織をヒトへの治療に呈する上で重要な点は, 安全な材料の提供にある. それを支えるものは, より直接的な安全性のチェックのみならず, その現象を説明する深い科学的知識基盤の蓄積に裏付けられた論理である. 基礎に関わる研究者の役割は, その基盤の形成にあると考えている. モデル生物を用いた原理の追求までもその基盤となる. まさに再生医療は, 基礎から応用, 実用へのすべてが統合された分野である. 現在, さまざまな分野から, さまざまな技術を持った人々が, 再生医療分野へ参入してきている. 山中伸弥先生のノーベル生理学・医学賞受賞から, その動きはさらに加速された. 物性や化学合成関連の人々も強い関心を持っている. 今後, 再生医療分野は融合分野としてさらに発展し, その発展はさまざまなボトムアップの研究により, より加速されると考える. 安全性は, また, 作業する人の熟練によっても支えられる. 熱意を持った若い人々が, 技術や経験を積み, 心配なく仕事を続けられる環境を整備することが, 同時に重要である. 9月8日未明, 2020年の東京オリンピックの開催が決定された. 福島の汚染水漏れへの不安の解消が決定を後押ししたともいわれている. 福島第一原子力発電所事故とその後の処置, 論文データや治験データの捏造事件などにおいて, 私たち科学者は, その倫理と良心を問われた. 特に, 大きな社会的利益を生む分野では, 科学者の社会性と倫理性が常に重要である. それが, また, 安全性を担保するものとなる. 本学会がその良き先駆的な例となることが望まれる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。
