<< 一覧に戻る

肝性浮腫―病態・診断・薬物療法

総論 非代償性肝硬変における腹水の病態生理

Pathophysiology of ascites in decompensated liver cirrhosis

福井博

Fluid Management Renaissance Vol.4 Suppl., 16-28, 2014

「Summary」非代償性肝硬変では,血管拡張物質が増加して末梢血管が拡張し,心拍出量は増加するが腎への有効循環血液量はむしろ減少している。これを補おうとして種々の血管収縮性のNa・水貯留因子が増加し,腎において体液貯留に働き,微妙な均衡を保っている。肝では線維化と再生結節形成のため肝静脈枝,肝内門脈枝が圧迫され,類洞内静水圧,門脈圧が上昇するが,これらは肝リンパ生成の亢進と腹腔内門脈末梢枝の透過性亢進を招き,腹腔内に漏出した体液成分がリンパ管,腹膜の吸収能を上回ると余剰分が腹水となる。非代償性肝硬変ではbacterial translocationやエンドトキシン血症が病態に深く関わり,特発性細菌性腹膜炎や肝腎症候群への進行を助長する。これらを一連の病態推移として捉え,その意味を理解することは肝硬変患者の体液管理の基礎となる。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る