侵襲をめぐるQ&A
(増殖因子)Q 肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor:HGF)はどこで作られ,がん細胞にはどのような影響を与えるのですか?
Surgery Frontier Vol.14 No.2, 102-105, 2007
A はじめに 肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor:HGF)は, 1984年, 中村らによって肝細胞の増殖を促進させる活性を有する因子として, ラット血小板より精製された1). その後, 1989年にヒトHGF遺伝子が2つの研究室から同時期にクローニングされ, その遺伝子配列が明らかとなった2)3). に示すようにHGF mRNAは生物活性を有しないPro HGF(94kD)として翻訳されるが, HGFアクチベーター(HGFA), 凝固因子(XIa), マトリプターゼなどのプロテアーゼによりArg-Val間で特異的な切断(プロセッシング)を受け, α鎖(62kD)およびβ鎖(34kD)よりなるMature(活性型)HGFが形成される. 図1-Bは, ヒト線維芽細胞培養上清を抗HGF抗体でウエスタン解析したものであるが, 非活性型(94kD)および活性型HGFα鎖(62kD)両者が分泌されていることがわかる4). 生体におけるHGFは, 主に線維芽細胞, 脂肪含有細胞, 好中球, マクロファージ, 血管内皮細胞などの間質細胞より産生, 分泌され, 正常上皮細胞あるいは癌細胞にパラクリン的に作用している4)5). 一方, 癌細胞もHGFを産生し, 自身のc-METを活性化させるオートクリン作用も報告されている4)5).
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