<< 一覧に戻る

肝不全の各種病態と新しい治療の視点

肝不全に対するバイオ人工肝臓の応用

小林直哉

Surgery Frontier Vol.14 No.2, 51-60, 2007

肝臓細胞を組み込んだハイブリッド式バイオ人工肝臓補助装置(bioartificial liver:BAL)を用いた肝不全治療が注目されている. 細胞のソースとしては, ヒト由来の胚性幹細胞(embryonic stem cell:ES細胞), 体組織幹細胞, 分化組織細胞や, 異種動物とりわけブタ組織由来の細胞の使用が各種研究者間で検討されている. 多分化能をもつヒトES細胞を自由に使いこなすことは, 利用価値が高く, 多数の研究グループが参入している. 異種間のバリアを乗り越えるため, 各種遺伝子改変したブタの作成などが試みられているが, 近年, 内因性ブタレトロウイルスがヒト細胞へ感染しうることが報告され, その臨床応用化に議論をよんでいる. このような問題を回避するために, われわれは, 無限の増殖能を有するES細胞に注目し, その肝細胞への分化誘導法の考案, そして, 最終分化したヒト肝臓細胞に遺伝子改変を行うことで, 低コストで大量生産が可能な分化機能を有するヒト肝臓細胞株の作成に努めている. また, こうした細胞を充填するためのバイオ人工肝臓モジュールの開発も重要な課題である. モジュール開発に関しては, 中空糸と不織布を組み合わせた人工肝臓モジュールを開発した. 本稿では, 世界のBALの現状を考察し, BALによる肝不全医療の早期実現を目指したわれわれの治療戦略について述べる.

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る