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Ⅱ.侵襲に対する生体反応の分子機構 血液凝固反応

Surgery Frontier Vol.14 No.1, 46-50, 2007

凝固線溶反応本来の意義は出血・組織損傷に対する特異的止血・創傷治癒反応であるが, 近年, 神経内分泌反応および免疫炎症反応同様の生体侵襲に対する非特異的生体反応であることが知られるようになった. 生体侵襲により生じた細胞・組織損傷の拡大を防ぎ修復する過程を生体反応と定義し, その本態は生体恒常性維持反応である. 凝固線溶反応も例外ではなく, 神経内分泌反応・免疫炎症反応と密接に連関して生体恒常性維持に重要な役割を担っている. しかし, 侵襲に対してこれらの生体反応が過剰あるいは過小に惹起された場合には, 生理的生体反応が病的反応へ移行して臓器不全を引き起こして生体の予後を大きく規定することになる. 臓器不全発症にはprotease-acitvated receptors(PARs)を介した炎症凝固反応連関が特に重要であり, その連関は臨床的に遷延するsystermic inflammatory response syndrome(SIRS)およびdisseminated intravascular coagulation(DIC)として捉えることが可能である. 血液凝固線溶反応を超えた普遍的生体反応としての凝固線溶反応の役割を認識し, 生体侵襲に起因する臓器不全発症の病態生理に深くかかわっていることを理解したい.

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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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