新刊
Pharma Medica
Vol.42 No.4 12-17,
2026より
特集 主役となる補体
先天性補体欠損症―注目されている遺伝性血管性浮腫を中心に―
堀内 孝彦
近年、先天性補体欠損症のなかでも特に注目されている疾患のひとつが、補体C1インヒビター(C1-inhibitor:C1-INH)の先天的欠損によって生じる「遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema:HAE)」である。HAEは、顔面、喉頭、四肢、消化管など、全身のさまざまな部位に発作性の浮腫を繰り返す。なかでも消化管の浮腫は激烈な腹痛を生じ、喉頭浮腫は突然の窒息死を引き起こす可能性があるため、臨床現場では見逃してはならない重要な疾患である。HAEでは、C1-INHの機能不全によりブラジキニンが過剰に産生され、血管透過性が亢進することで浮腫が生じる。発作時に使用する従来のオンデマンド治療薬に加え、近年、発作の予防を目的とした長期予防薬が次々と承認され、治療選択肢が大きく広がった。長い歴史をもつHAE診療は、今まさに新たな局面を迎え、飛躍的な進展を遂げつつある。