論文・記事一覧
Bella Pelle Vol.11 No.2 22-25, 2026より
【特集 たるみ治療 機器vsスレッドリフトvsフェイスリフト】
Feature Articles 特集論文 2.高周波治療機器の効果と限界─立体構造構築という非手術たるみ治療の現在地
衣原 公美子
顔面のたるみ治療は,歴史的に牽引を中心に発展してきた.フェイスリフト手術は外科的に組織を再配置し,スレッドリフトの普及は牽引による改善が患者にわかりやすい即時効果をもたらす.しかし,顔面老化の解剖理解が進むにつれ,たるみは単なる位置変化ではなく,皮膚,脂肪,表在性筋膜系(superficial musculoaponeurotic system;SMAS),さらには皮下に広がる線維性支持ネットワークの質的低下として捉えられるようになった.高周波(radiofrequency;RF)治療は,この「支持構造の質」に直接介入できる非手術治療として発展してきた.本稿では,高周波治療機器の効果と限界を整理し,スレッドリフトおよびフェイスリフトとは異なる立体構造修復アプローチとしての位置付けを明らかにする.
Bella Pelle Vol.11 No.2 26-29, 2026より
【特集 たるみ治療 機器vsスレッドリフトvsフェイスリフト】
Feature Articles 特集論文 3.HIFUの効果と限界
畑 真貴 / 土屋 沙緒
HIFU(ハイフ)とは,高密度焦点式超音波「high intensity focused ultrasound」の頭文字を取った略称であり,「切らないたるみ治療」として,美容医療の世界で広く用いられている.HIFUの研究開発の歴史は古く,1950年代に米国イリノイ大学教授のFryらによって臨床レベルのHIFU機器が開発され,1990年代には経直腸的前立腺治療装置として臨床的実用化が始まった.美容医療用機器としては,2004年に米国ウルセラ社によってウルセラ®システムが開発されたのを皮切りに,広く美容業界で使用されるようになった.
Bella Pelle Vol.11 No.2 30-34, 2026より
【特集 たるみ治療 機器vsスレッドリフトvsフェイスリフト】
Feature Articles 特集論文 4.スレッドリフトの効果と限界
吉田 由佳
スレッドリフトの起源は顔面神経麻痺の静的再建の時代から始まる.1950~70年代には顔面神経が回復しない症例で,おもに顔面の顕著な左右差をなくすために,口角挙上目的でナイロン糸などの溶けないスレッドが使われていたのが始まりである.その後,1980年代になると筋膜移植や非吸収糸を筋膜や骨膜に固定する口角挙上術が発展し,2000年代になってようやく医療目的と美容医療目的に大きく枝分かれしていくこととなる. 現在美容医療で用いられているスレッドは,そのような歴史を経て発展した美容医療分野での集大成と思っていただくとわかりやすい.具体的には,美容医療では非吸収糸よりも吸収糸(後述するPDOなど)が発展を遂げた.また,内出血などを最小限に抑えながら低侵襲にリフトアップ効果をもたらすことができる,カニューレにコグ(棘)付きのスレッドを用いたフローティングタイプのスレッド処置が主流となった.十数年前は筋膜に縫合するスレッドリフトが主流であったが,それらは時代のトレンドからは外れ,より臨床的に簡便で安全であり,シンプルな治療が主流になってきている.
Bella Pelle Vol.11 No.2 36-39, 2026より
【特集 たるみ治療 機器vsスレッドリフトvsフェイスリフト】
Tell me, maestro マエストロに聞く 自然な仕上がりをめざすフェイスリフト─個性とアイデンティティーを生かした構造と輪郭の再構築
鈴木 芳郎
フェイスリフトは,耳の周囲を切開し,皮膚とその下にあるSMASを同時に引き上げることでたるみを劇的に改善する治療法として知られている.たるみ治療のなかでも効果と持続の面で優れており,長年美容外科の領域で発展してきた.鈴木芳郎先生は,美容医療への参入直後からフェイスリフトに関心をもち,長年ライフワークとして取り組んできた.低侵襲が主流の最近の美容医療でフェイスリフトが支持される理由,フェイスリフトの効果を持続させる工夫,施術で重視していることなど,たるみ治療の第一人者に聞きたいさまざまな疑問にお答えいただいた.
Bella Pelle Vol.11 No.2 54-56, 2026より
【特集 たるみ治療 機器vsスレッドリフトvsフェイスリフト】
第36回後天性の色素沈着の診断とオクロノーシス
山下 理絵
前回は,ハイドロキノンの副作用について述べた.一部の国では化粧品での取り扱いが禁止されているハイドロキノンであるが,わが国では2001年より化粧品に配合できるようになった.2013年に白斑を生じたロドデノロールが配合された化粧品は自主回収されたが,化粧品に配合されているハイドロキノンについての取り扱いは変わっていない.今後,副作用の症例が増加し,日本皮膚科学会が懸念を示した場合には何らかの規制が導入される可能性があると考える.
Bella Pelle Vol.11 No.2 57-60, 2026より
【特集 たるみ治療 機器vsスレッドリフトvsフェイスリフト】
vol.22 人中縮小術(リップリフト)
古山 登隆 / 秋本 峰克
魅力的な唇はすべての年齢層に好まれる.上口唇は顔面の中央に位置し,その形態や,他の部位とのバランスは顔の印象に大きく影響する.とくに鼻下から赤唇までの距離が長く感じることで,長い中顔面を自覚する.加齢により皮膚が菲薄化すると,上口唇の張りが低下し,縦ジワが目立ち白唇が伸び,赤唇も薄くなる.リップリフトは鼻翼~鼻腔底隆起~鼻柱基部直下の皮膚切除によって,距離だけでなく三次元的な形態,口周りの印象の改善,若返りの効果が期待できる手術である.近年は若年女性でも上口唇の短縮,傾斜の調整による整容改善目的の人中短縮も多く行われる.とくに手術の適応,デザイン,手術操作について示す.
Bella Pelle Vol.11 No.2 61-64, 2026より
【特集 たるみ治療 機器vsスレッドリフトvsフェイスリフト】
スキンケア検定を解いてみる Lesson 40
平松 泰成 / 川島 眞
「Question 1」洗浄剤のシンデットについて正しい記述を選びなさい. A シンデットは石けんを主成分とし,一般にアルカリ性を示す. B シンデットは合成洗浄剤で,弱酸性~中性にpH設計が可能である. C シンデットは液体洗浄剤の総称であり,固形製剤よりも皮膚に優しい. 「Question 2」レチノール配合化粧品について,正しい記述を選びなさい. A 落屑や赤みなどの皮膚症状は導入初期に出現することが多い. B 皮膚刺激症状の出現はアレルギー反応によるものが多い. C サンスクリーン剤の使用は効果を減弱させるため,併用は避ける. 「Question 3」景品表示法のいわゆるステルスマーケティング(ステマ)規制について,正しい記述を選びなさい. A 実際にSNS投稿を行った投稿者(インフルエンサーなど)が罰則の対象となる. B 事業者は,広告であることが消費者にわかるように表示する必要がある. C 広告である旨は,ハッシュタグで「#PR」または「#広告」と付記するよう定められている.
Bella Pelle Vol.11 No.2 65-67, 2026より
【特集 たるみ治療 機器vsスレッドリフトvsフェイスリフト】
第38回真皮の記憶を書き換える─epigenetic rejuvenationメカノバイオロジーが示唆する美容医療の新たな可能性
山田 秀和 / 根本 美穂 / 後藤 芽以子
かつて,エピジェネティクスは「DNA塩基配列の変化を伴わない後天的な遺伝子発現制御」と定義されてきたが,近年の美容皮膚科領域においてその概念は劇的な拡張をみせている .それは,単なる分子レベルのスイッチングにとどまらず,細胞が置かれた物理的環境や時間軸の情報をいかに「記憶」し,表現型として固定化するかという動的なプロセスとして捉え直されている 1).われわれがいかにして若齢期の瑞々しさを失い,老化という不可逆にみえるプロセスを辿るのか.その鍵は,細胞が保持する「環境の記憶」の書き換えにあるとみられる.
Bella Pelle Vol.11 No.2 66, 2026より
【特集 たるみ治療 機器vsスレッドリフトvsフェイスリフト】
Paper No.1 ヒト皮膚表皮および真皮老化におけるYAP/TAZの新たな展望
後藤 芽以子
皮膚老化は,表皮および真皮における構造的・機能的変化を特徴とし,加齢に伴う内因性要因に加え,紫外線や環境因子による外因性の影響を受けて進行する.近年,こうした皮膚老化の分子基盤として,Hippoシグナル伝達経路の下流因子であるYes-associated protein (YAP)およびtranscriptional coactivator with PDZ binding moti(f TAZ)の重要性が注目されている.
Bella Pelle Vol.11 No.2 67, 2026より
【特集 たるみ治療 機器vsスレッドリフトvsフェイスリフト】
Paper No.2 レーザーによるエピジェネティック調節:再生と長寿に向けた皮膚 生物学の再プログラム化 . EADV 2025
根本 美穂
レーザー治療は「熱損傷と創傷治癒」を利用したコラーゲン再構築の手段として理解されてきたが,エピジェネティックな観点から再評価されている.エピジェネティクスとは,DNA 配列そのものを変化させずにDNAメチル化やヒストン修飾,non-coding RNA などを介して遺伝子発現を制御する仕組みの総称であり,皮膚老化や創傷治癒の質を規定する重要な要因である.さらに近年,広義のメカノバイオロージーを介するエピジェネティクスが解明されつつある.