肺がんでは近年,分子標的薬,免疫チェックポイント阻害薬の開発が進んできた。今回紹介する抗体−薬物複合体(ADC)は,細胞傷害性小分子を抗体に共有結合させた治療薬で,現在開発が進んでいる次世代の薬剤である。現在固形がんで米国食品医薬品局(FDA)承認を得ているのはトラスツズマブエムタンシン(T-DM1)のみであるが,ADC開発においては60以上の臨床試験が行われている。小細胞肺がんではrovalpituzumab tesirine(Rova-T)のさまざまなsettingでの臨床試験が進められているが,早期中止となる試験もあり,開発は難航している。乗り越えるべき課題も多いが,ADCはより高い効果が期待できる薬剤であり,今後の発展が注目されている分野である。本稿では,現在開発が進んでいる胸部悪性腫瘍に対するADCを中心に紹介する。
「KEY WORDS」胸部悪性腫瘍,肺がん,抗体−薬物複合体
「KEY WORDS」胸部悪性腫瘍,肺がん,抗体−薬物複合体