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M-Review

温故知新 うつ病の理解を深める

仕事のストレスとうつ病の歴史

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掲載誌
DEPRESSION JOURNAL Vol.10 No.1 26-27, 2022
著者名
北中淳子
記事体裁
連載 / 抄録
疾患領域
精神疾患
診療科目
精神科
媒体
DEPRESSION JOURNAL

2000年代に筆者が日本の過労自殺や過労うつ病について欧米で講演すると,「なぜ日本人は死ぬまで働くのか」「なぜ仕事でそこまで追いつめられる前に精神科医にかからないのか」と質問を受けることが少なくなかった.しかしその後,欧米でも長時間労働や燃え尽き症候群(burnout)が問題となるなかで,メンタルヘルスは労働問題として捉えられるようになっている.OECD(経済協力開発機構)諸国では平均して生産年齢人口の約2割が心の問題を抱えているといわれ,仕事のストレスがどのようにうつ病を引き起こし,それはどう予防できるのかを解明することが世界的課題となっている.
ただし,最近のILO(国際労働機関)とWHO(世界保健機関)による初の系統的レビューが示すように1),ストレスとうつ病の因果関係を確立することは決して容易ではない.そもそも「ストレス」という概念自体が曖昧で,時代や社会によってそれの意味するところは大きく変遷する.このレビューでも,長時間労働の影響をみるために比較されている週の労働時間が,「41~48時間」「49~54時間」「55時間以上」の3群と聞くと,さらに突出した残業時間が常態化している日本からはやはり遠い国の話に思える.
実際,コントロール群がないばかりに今回のレビューには含まれなかったものの,明確に因果関係が示されている「特筆すべき」研究として紹介されているのは,日本の初期研修医のうつに関する論文だった2).彼らの労働時間は80時間に上り,研修開始3カ月後に抑うつ症状を示す研修医は30%(新規のうつ状態は約20%)だったという.よってこれほど過剰な長時間労働は,確かにうつ病を引き起こす可能性があることが論文でも指摘されている.その点で早くから長時間労働のみならずパワハラ,セクハラを含む職場でのうつ病に向き合ってきた日本は,この領域における(ある意味不幸な)先駆者となってきた.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

掲載誌の紹介

DEPRESSION JOURNAL2022年4月号(Vol.10 No.1)

今やcommon diseaseともいわれる「うつ病」について臨床的な話題をタイムリーかつ臨場感のある誌面で情報発信する学術誌。

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