2007年の齊藤らを中心とする厚生労働科学研究費補助金の研究成果で,以下のように「ひきこもり」の定義がなされている.
「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外での交遊など)を回避し,原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念である.なお,ひきこもりは原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とするが,実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性は低くないことに留意すべきである.」1)
上記の定義では,統合失調症のみが除外されているが,さらに,斉藤は「社会的ひきこもり」を「精神障害がその第一の原因とは考えにくいもの」と定義している2).つまり,厳密な意味では,ある人がうつ病によって社会的にひきこもっている状態にあるとしたら,その人はうつ病であって「ひきこもり」とはみなされないということになる.しかし,実際には,ひきこもりの人も,憂うつな感情をもつことは十分にありうることなので,次に,「ひきこもり」が一次的な事態としてあり,それに基づく「抑うつ」について述べることにしたい.