脂肪細胞の新しい展開
脂肪前駆細胞の移植医療への臨床応用
The Lipid Vol.19 No.1, 71-77, 2008
脂肪組織には, 脂肪細胞の前駆細胞であるとともに, 血管の前駆細胞ともいえる間質細胞が含まれている. 脂肪吸引から採取される吸引脂肪は, 移植材料として使用されるだけでなく, この間質細胞の採取源ともなる. 吸引脂肪組織は, 正常脂肪組織に比較して大血管に乏しく, 前駆細胞にも乏しい. この欠点を補填するために, 吸引脂肪にこの間質前駆細胞を接着させて移植する方法(cell-assisted lipotransfer;CAL)を考案した. 豊胸術や癌切除後の組織欠損などへの整容的組織増大治療に応用し, これまでの124症例において満足できる成績を得ている. 「はじめに」痩身目的の代表的美容外科手術である脂肪吸引術(全世界で毎年100万件を超える)において廃棄される吸引脂肪組織は, 骨髄に代わる再生医療の新たな細胞源として近年注目を浴びるようになったが, 脂肪組織を再生する需要も大きいことはあまり知られていない. 脂肪組織の再生は, 整容的に陥凹や変形部位の組織の体積を増やすことを目的としており, 組織増大治療と呼ばれる.
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