臨床　『前立腺癌診療ガイドライン2023年版』改訂の概要

『前立腺癌診療ガイドライン2023年版』は第4版として作成された。日本泌尿器科学会を中心に複数の学会および関連団体（日本医学放射線学会，日本放射線腫瘍学会，日本医療機能評価機構EBM医療情報部（Minds事務局），日本病理学会，患者団体（NPO法人腺友倶楽部））から改訂委員および協力委員を選出し，『Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0』に準じて改訂作業を行った。今回の改訂の最大の特徴は，クリニカルクエスチョン（CQ）に対する推奨を決定するにあたりシステマティックレビュー（SR）を取り入れたことで，14のCQに対して定性的SRを行い，その結果をもとに改訂委員24名による投票で最終的な推奨を決定した。さらにこれらの結果をもとに5つのアルゴリズムを作成した。SRで取り扱わなかった教科書的な内容に関しては総論で記載した。14の領域について文献検索を行い，『前立腺癌診療ガイドライン2016年版』の総論およびCQの内容をもとに，それ以降明らかとなった知見を中心に記載した。本稿ではSRを中心とした作成過程について概説する。