美容医療を求める患者さんは,肌の老化を改善して,実年齢より若くみられることを望む.そのような患者さんの要望に対し,美容皮膚科医と美容外科医がとるアプローチには,重複している部分もあるが,基本とする立場はそれぞれ異なっている.第1回の「マエストロに聞く」では,日本美容外科学会(JSAPS)の理事長である百束比古先生をお招きし,美容外科が基本とするアプローチと,美容皮膚科との違いについて,今後の展望も含めお話をうかがった.
「なぜ今,美容医療なのか?―美容皮膚科と美容外科におけるアプローチの違い」
川島:高齢化の進んだ今日では,70歳代や80歳代も美容医療の対象です.患者さんの「若い肌を保ちたい」という要望に対し,美容皮膚科では真皮までを担当領域とし,メスを使わない低侵襲の施術で応えます.美容皮膚科の施術は,疼痛も副作用もなくダウンタイムも少ない特徴がありますが,低リスク・低効果の傾向も指摘されます.とくに美容皮膚科医の解剖学的な知識の不足が,たるみへの対応の不十分さなどにつながっているのだと思います.