進行肝細胞癌に対して,RAF,VEGFR,PDGFRなどに対するチロシンキナーゼ阻害剤であるソラフェニブは,プラセボと比較したSHARP試験1)とAsia-Pacific試験2)の2つのランダム化比較試験において延命効果が示され,標準治療として位置付けられた。しかし,ソラフェニブは腫瘍の増殖を抑制することで延命効果は得られるが,腫瘍縮小効果はあまり期待できない。前述のランダム化比較試験では,奏効割合はそれぞれ2%と3.3%であった。しかし今回,肝細胞癌の多発肺転移例において,完全奏効(CR)が得られ,ソラフェニブ中止後も再発せず経過している症例を認めたため,報告する。
「KEY WORDS」ソラフェニブによる完全奏効,ソラフェニブの有害事象マネジメント