「はじめに」H. pylori感染胃炎に除菌治療が保険適用となって2年が経過した。この間飛躍的に除菌症例が増加している。除菌による胃がん抑制を示す報告でも除菌後胃がんは消失しないことが判明している。また,H. pylori感染者は若年者では10%以下であり,今後胃がんは減少していくものと考えられるが,相対的に除菌後胃がんやH. pylori未感染胃がんが増加すると考えられる。本テーマではH. pyloriと胃がんの今後について概説する。
「1 これからのH. pylori感染率」図1にわが国のH. pylori感染率の推移を示す。1992年北海道大学の浅香教授のデータでは,40歳以降で感染率は70%前後でプラトーに達しているが,その後の大分大学の検討では,ピークは次第に左へシフトしており,60歳代がピークとなりそのピークも年を追うごとに低下している。すなわち感染率は若年者から低下しており,最近の疫学的な研究結果では,20歳未満では10%未満の感染率となっている。
「1 これからのH. pylori感染率」図1にわが国のH. pylori感染率の推移を示す。1992年北海道大学の浅香教授のデータでは,40歳以降で感染率は70%前後でプラトーに達しているが,その後の大分大学の検討では,ピークは次第に左へシフトしており,60歳代がピークとなりそのピークも年を追うごとに低下している。すなわち感染率は若年者から低下しており,最近の疫学的な研究結果では,20歳未満では10%未満の感染率となっている。