書籍
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2014.06.20 発売
エベロリムスによる乳癌治療の新展開
定価 4,400円(本体4,000円+税)
発行形態 B5判 / 144ページ
ISBN 978-4-7792-1231-4
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4,400 (税込)
内容紹介

乳癌に対するホルモン療法の耐性メカニズムには種々のものが存在するが、その中でもPI3K/AKT/mTOR経路のエストロゲン非依存性の活性化が非常に重要な役割を果たしている。本書の主題であるエベロリムスは,mTORの阻害薬でありホルモン療法の耐性克服薬として以前より大変期待されている薬剤であったが,グローバルな第Ⅲ相試験であるBOLERO-2(非ステロイド系アロマターゼ阻害薬に耐性となったER陽性・HER2陰性の閉経後進行・再発乳癌を対象としてエキセメスタン単独とエキセメスタンとエベロリムスの併用を比較)によって見事にその臨床的有用性が証明された。即ち,エベロリムスを併用すると無増悪生存期間の中央値が2倍以上も延長することが明らかにされた。更に,BOLERO-2と同様のホルモン療法のセカンドラインのセッティングでタモキシフェンとエベロリムスの併用がタモキシフェン単独に比して有意に無増悪期間を延長することも報告されている。これらの結果からは,エベロリムスは,おそらくパートナーとなるホルモン療法の如何に拘わらず,一次ホルモン療法に耐性となった乳癌の無増悪期間を延長するものと考えられる。

BOLERO-2で報告されたエベロリムスによる無増悪期間の延長効果は非常に印象的で,臨床家なら誰もが直ぐにでも日常診療に応用してみたいという気になると思われる。但し,エベロリムスには,口内炎,皮疹,あるいは,間質性肺炎といった副作用が(これらはすべて本剤の減量や休薬などの適切な処置を行うことでマネージメント可能ではあるが),比較的高率に発現することが報告されている。従って,エベロリムスによる治療を効果的かつ安全に実施するためには,これらの副作用対策にも十分留意する必要がある。エベロリムスは,この薬剤の特性を熟知した乳癌治療の専門医が使用してはじめてその有効性を最大限に引き出すことができる,正に「プロが使用すべき薬剤」であると思われる。

本書では,エベロリムスの基礎から臨床まで,特に,日常診療に役立つと思われるエベロリムスの適応や副作用(口内炎,皮疹,間質性肺炎)のマネージメントについてもエキスパートの先生方から分かり易く解説して頂いている。本書によってエベロリムスの適正使用が推進され,乳癌の治療成績の向上に貢献することを祈念する。


野口眞三郎(「序文」より)

目次

Ⅰ.mTORとmTOR阻害薬

1.mTORと細胞の癌化・増殖/冨樫庸介/西尾和人

2.mTOR阻害薬の種類と特性/西村明子/南 博信


Ⅱ.乳癌の分子生物学 ―エベロリムス治療の理論的背景―

1.乳癌の分子生物学とmTOR/佐治重衡

2.アロマターゼ阻害薬耐性とmTORシグナル/木村万里子/林 慎一

3.乳癌治療におけるエベロリムス開発の経緯/近藤直人/岩田広治

4.乳癌治療におけるエベロリムスの薬理作用・薬物動態/藤田健一/佐々木康綱


Ⅲ 乳癌治療におけるエベロリムスの臨床

1.ホルモン受容体陽性乳癌の治療における課題/三好康雄

2.乳癌に対するエベロリムスの臨床成績/伊藤良則

3.エベロリムスの臨床的位置づけ/増田慎三

4.エベロリムスの副作用対策/舛本真理子/向井博文

5.エベロリムスのチーム医療とアドヒアランス/高橋俊二


Ⅳ 乳癌治療におけるエベロリムスの将来展望/大野真司

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