書籍
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2013.10.17 発売
ファーマナビゲーター・18 SERM編
定価 4,180円(本体3,800円+税)
発行形態 B6判変型 / 356ページ
ISBN 978-4-7792-0922-2
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4,180 (税込)
内容紹介

第一世代SERMといわれるタモキシフェン(TAM)は,分子薬理学的手法によって創薬に成功し,当初,非ステロイド性抗エストロゲン薬として乳癌の予防・治療に使用されていた。しかし,抗エストロゲン作用ばかりでなく,骨密度の維持効果やLDLコレステロール低下作用から,エストロゲン様作用がのちに確認された。その後の第二世代であるラロキシフェン(RLX)の登場により,抗エストロゲン薬から,組織特異性を示す選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)と呼ばれるに至った。しかし,この作用はTAMにもあることから,TAMを第一世代として,SERMという造語で総称されるようになった。そして,さらなる効果と安全性を求めて第三世代のバゼドキシフェン(BZA)が創薬された。

RLX,BZAはいずれも骨粗鬆症を適用とした薬剤であるが(RLXはFDA[米国食品医薬品局]より乳癌の予防・治療薬としても追認),エストロゲンの欠乏した閉経後女性に対する,エストロゲン受容体を介したそのエストロゲン様作用は,より合目的かつ自然の作用が期待される。

さらに昨今,骨粗鬆症の成因が,エストロゲンの低下に加えて,加齢や生活習慣病による酸化ストレスの亢進により,骨密度低下ばかりでなく,骨質劣化による骨脆弱性に起因することも解明されつつある。この酸化ストレスの亢進による骨質劣化を改善することを最も説明し得る薬剤としてもSERMは脚光を浴びている。

また,医療従事者にとって医療行為のendpointとなるものは,mortalityをいかに減ずるかにあるが,そのベースとなるものは生を脅かす各種疾患対策であろう。その点,SERMはWHI(Women’s Health Initiative)試験においてHRT(ホルモン補充療法)やERT(エストロゲン補充療法)が果たせなかった閉経後女性の死に関係する総合指数であるglobal indexを25%も改善することが示されている。加えて,mortalityに対する関わりについて10%も改善を示す結果が報告されている。このことは,本剤の適応症はわが国では骨粗鬆症であるが,全身に存在するエストロゲン受容体を介した骨外作用というよりは,多面的作用にも期待できることを表す。

本書は,骨粗鬆症の内科分野を代表するエキスパートの杉本利嗣先生と,整形外科分野を代表するエキスパートの田中栄先生とともに3人で編集に携わらせていただいた。RLXとBZA,2つのSERMを使用することができる数少ない国として,わが国ならではのSERMに関する最新情報を発信するとともに,10項目のQ&Aでさらに補足し,SERMに関してより理解を深めていただけるものと考えている。本書が骨粗鬆症に対するSERM治療に関する決定版として骨粗鬆症の関係者のみならず,女性医療ほか,保健医療や各種分野の方々の研究や実務にお役に立つことができれば幸いである。


太田博明

(「序文」より)

目次

Chapter 1 開発の経緯

1 エストロゲン欠乏とエストロゲン補充(高橋一広/倉智博久)

1 エストロゲンの変動

2 エストロゲン欠乏に起因する疾患

1.更年期障害

2.脂質代謝

3.骨粗鬆症

4.心血管疾患

3 ホルモン補充療法

4 SERMと血管


2 エストロゲンからSERMへ(岡野浩哉)

1 エストロゲンと骨

2 SERMの歴史

3 骨粗鬆症治療としてのHRTの位置づけ:WHI試験の結果と影響

4 SERMの台頭と可能性

5 乳癌予防効果

6 心血管系疾患

7 Risk-benefit profileに対するエビデンス


3 SARMとSGRMへの展開(柳瀬敏彦/田邊真紀人)

1 SARM,SGRMの開発の経緯

2 テストステロンの骨格筋,骨,脂肪への作用

3 SARM開発研究の歴史と現況

4 SGRM


4 第一世代SERMの開発(タモキシフェン)(紅林淳一)

1 タモキシフェンの開発経緯と作用機構

2 タモキシフェンの乳癌治療薬としての有用性

3 タモキシフェンを代表としたホルモン療法薬の乳癌発症予防効果

4 タモキシフェンの各種臓器に与える副次的な作用


5 第二世代SERMの開発(ラロキシフェン)(岡崎 亮)

1 ラロキシフェンとタモキシフェン

2 骨粗鬆症薬としてのラロキシフェン

3 抗乳癌薬としてのラロキシフェン


6 第三世代SERMの開発(バゼドキシフェン)(太田博明)

1 バゼドキシフェンの開発の経緯

2 バゼドキシフェンの構造および薬理作用における特徴


Chapter 2 作用機序と組織選択性

1 エストロゲン受容体の生体内分布と性差(大藏慶憲/尾林 聰/久保田俊郎)

1 エストロゲン受容体(ER)の構造とエストロゲン・シグナル伝達経路

1.核内ERによる古典的経路

2.核外ERによるnon-genomic action

2 ERαとERβの組織分布と相違点

1.ERαとERβの全身組織における分布

2.ERの各臓器における分布と機能

3 ERに関する性差


2 エストロゲンの性腺作用と性腺外作用(寺内公一)

1 エストロゲンの性腺作用

1.子宮発育促進作用

2.子宮内膜に対する作用

3.子宮頚部に対する作用

4.卵管に対する作用

5.膣に対する作用

6.乳房に対する作用

2 エストロゲンの性腺外作用

1.認知機能に対する作用

2.気分に対する作用

3.眼圧に対する作用

4.心血管系に対する作用

5.脂質に対する作用

6.血液凝固系に対する作用

7.骨に対する作用

8.大腸に対する作用

9.皮膚に対する効果


3 SERMとエストロゲン受容体の結合(今井祐記)

1 エストロゲン受容体(ER)

2 ERαとERβ

3 作用機序とメカニズム


4 SERMのエストロゲン様作用(樋口 毅)

1 SERMのエストロゲン様作用

1.骨への作用

2.血管への作用


5 SERMの抗エストロゲン作用(田井宣之/井上大輔)

1 SERMの組織選択的作用を生み出す分子機構

2 SERMの抗エストロゲン作用の発現機序

3 乳腺に対する抗エストロゲン作用

4 子宮に対する抗エストロゲン作用

5 閉経後女性に対するバゼドキシフェンと結合型エストロゲンの併用療法


Chapter 3 骨粗鬆症の病因と病態

1 骨粗鬆症の発症メカニズム(エストロゲン欠乏,加齢,生活習慣病)(竹内靖博)

1 閉経による骨吸収亢進と炎症性サイトカイン

2 炎症性サイトカインと骨代謝異常

3 加齢と骨粗鬆症

4 生活習慣病と骨粗鬆症


2 海綿骨と皮質骨の減少(真柴 賛)

1 皮質骨と海綿骨

2 骨のモデリングとリモデリング

3 海綿骨の加齢に伴う減少

4 皮質骨の加齢に伴う減少

5 骨量減少と骨石灰化度変化

6 骨量減少と骨微細損傷の蓄積


3 骨強度の評価法(大橋 暁/田中 栄)

1 骨粗鬆症のコンセンサスの流れ

2 骨密度低下と骨質劣化

3 Hip structure analysis

4 CT/有限要素法解析

5 SERM投与症例のaBMD・CT/FEMによる評価


4 骨粗鬆症における骨折メカニズム(森 諭史)

1 骨強度関連因子

2 力学的環境と骨構造

3 骨微細構造

4 マイクロダメージ

5 石灰化度

6 コラーゲン架橋

7 骨代謝回転


5 骨粗鬆症と動脈硬化の連関(小川典子/山口 徹)

1 骨血管連関の病態―血管平滑筋の骨芽細胞化

2 骨血管連関の分子的機序―石灰化抑制因子と石灰化促進因子

3 骨血管連関における脂質代謝異常の関与

4 臨床における動脈硬化の危険因子と骨粗鬆症の関連性

5 臨床研究における脂質異常症と骨粗鬆症の関連性

6 治療薬からみた脂質異常症と骨粗鬆症の関連性

7 SERMの骨粗鬆症予防効果と動脈硬化抑制作用


Chapter 4 骨粗鬆症とSERM

1 骨密度・骨代謝マーカーに対する効果(望月善子)

1 骨密度に対する効果

1.ラロキシフェンの骨密度に対する効果

2.バゼドキシフェンの骨密度に対する効果

2 骨代謝マーカーを用いた治療効果判定

1.ラロキシフェンの骨代謝マーカーに対する効果

2.バゼドキシフェンの骨代謝マーカーに対する効果


2 骨構造特性に対する効果(伊東昌子)

1 ラロキシフェンの骨梁構造に対する効果

2 ラロキシフェンの皮質骨微細構造に対する効果

3 ラロキシフェンのヒト大腿骨ジオメトリーに対する効果


3 骨材質特性に対する効果(斎藤 充)

1 骨の材質因子:コラーゲン架橋

2 骨密度と骨質からみた骨粗鬆症の病型分類

3 骨質改善薬としてのSERM


4 各種病態における骨折に対する効果(田中 栄)

1 ラロキシフェンの骨折に対する効果

2 バゼドキシフェンの骨折に対する効果


5 生活習慣病関連骨粗鬆症に対する効果(山内美香/杉本利嗣)

1 2型糖尿病

2 慢性腎臓病

3 脂質異常症

4 動脈硬化性疾患

5 生活習慣病関連骨粗鬆症と薬物治療開始基準


6 QOLに対する効果(遠藤直人)

1 骨粗鬆症の治療目標

2 骨粗鬆症に特異的なQOL評価:JOQOL

3 骨粗鬆症患者のQOL評価

4 SERMとQOL評価


7 新ガイドラインにおける位置づけ(宗圓 聰)

1 骨折抑制のエビデンス

2 閉経後骨粗鬆症におけるSERMの位置づけ


Chapter 5 今後の展望

1 高齢者骨粗鬆症に対する効果(三木隆己)

1 高齢者骨粗鬆症治療の問題

2 長期の高齢者骨粗鬆症治療

3 高齢者におけるSERMの効果

4 ラロキシフェンの脱落防止対策


2 ステロイド性骨粗鬆症に対する効果(田中良哉)

1 ステロイド性骨粗鬆症のメカニズム

2 ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療

3 ステロイド性骨粗鬆症に対するSERMの効果


3 動・静脈血栓症に対する安全性(高松 潔/小川真理子)

1 SERMによる血栓発症の機序

2 海外の大規模臨床研究におけるSERMによる血栓症リスク

3 日本人女性におけるSERMによる血栓症リスク


4 女性医療への展開の可能性(太田博明)

1 Women’s Health Careの必要性

2 SERMによるGlobal indexとMortalityへの関わり


Chapter 6 Question & Answer

1 SERMの治療効果判定にはどの骨代謝マーカーが有用ですか?(茶木 修)

1 ラロキシフェン使用時の骨代謝マーカー

1.海外におけるラロキシフェンによる骨粗鬆症治療と骨代謝マーカー(MORE試験の結果から)

2.本邦におけるラロキシフェンによる骨粗鬆症治療と骨代謝マーカー

2 バゼドキシフェン使用時の骨代謝マーカー

3 骨質マーカーについて


2 SERMを使用していますが骨密度があまり上昇しません。このまま治療を続けて良いでしょうか?(五來逸雄)

1 服薬状況の評価

2 骨密度の再評価

3 他剤との併用

4 他剤への変更


3 SERMは男性,閉経前女性に使用できますか?(宮島 剛)


4 後期高齢者にSERMは使用できますか?(細井孝之)

1 骨密度に対する効果

2 骨代謝マーカーに対する影響

3 骨折発生予防効果

4 有害事象に関する検討


5 SERMは乳癌治療中の患者に使用できますか?(安井敏之)

1 乳癌発生通常リスク女性におけるSERM

2 乳癌発生高リスク群におけるSERM

3 乳癌患者におけるSERM

1.タモキシフェンとの併用

2.アロマターゼ阻害薬との併用

3.放射線療法


6 SERM服用中の注意点を教えてください(長期臥床時,手術時,海外旅行時中止など)(宮内章光)

1 SERM服用中の注意点

1.長期不動状態(術後回復期,長期安静期等)にある患者

2.海外旅行時中止(航空機などによる旅行に関する注意)


7 SERM投与中に骨折した場合,中止する必要はありますか?(太田博明)


8 SERMは顎骨壊死や非定型骨折をきたしますか?(萩野 浩)

1 顎骨壊死

2 非定型大腿骨骨折


9 SERMと他剤の併用,逐次療法,切り替えについて教えてください(和田誠基)

処方の実際―(和田誠基)


10 SERMとビスホスホネートの使い分けについて教えてください(白木正孝)

1 Questionの根拠

2 回答1:作用する細胞種の違い

3 回答2:付加価値

4 回答3:使い分けに関するエビデンス

5 使い分けに関するエビデンスの取得を目指して(JOINT-04研究)

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