核医学検査は,重要臓器の生理機能の評価,各疾患の病態把握に有益な情報を提供してくれる重要なモダリティであり,分子イメージングの時代となり,さらにその有用性が期待されている。
2009年1月にパリで開催されたOECD/NEAワークショップでは,核医学検査の主役(主薬)である99mTc製剤の伸びが2020年には現在の1.5倍になると予測されている。その要因は,生活習慣病の代表である虚血性心疾患の増加,社会の高齢化に伴う認知症の急増などが挙げられ,心機能,脳神経機能診断においてSPECT検査が増加すると考えられているからである。また,「がん対策基本法」施行以来,注目されるがん診療では,病期診断,病態把握のみならず薬剤耐性や治療選択の判断にも核医学検査は気体されている。SPECT-CTの登場で,各疾患の診療における核医学検査の役割,位置付けを改めて見直す時代がきたといえるのではないだろうか。
(早川和重「巻頭言」より)
第1章 基礎
1.SPECT-CT臨床利用の背景
2.ハードウェア・レジストレーション装置の開発と導入
3.診断用CT搭載型SPECT装置の特徴
4.SPECT-CT装置の設置基準
5.診断CT装置としての利用法
6.CT減弱補正
7.ファントムによる基礎的検討
8.全身SPECT-CTの検査収集と画像処理フロー
9.臨床応用
10.技術的・運用面でのまとめ
第2章 臨床
1.ガリウムシンチグラフィ/鼻部扁平上皮癌術後
2.ガリウムシンチグラフィ/頸部リンパ節腫脹
3.ガリウムシンチグラフィ/サルコイドーシス
4.ガリウムシンチグラフィ/間質性肺炎
5.骨シンチグラフィ/慢性関節リウマチ 左仙腸関節炎治療中
6.骨シンチグラフィ/上咽頭癌 溶骨性骨転移
7.脳血流シンチグラフィ/右内頸動脈血栓による脳梗塞
8.脳槽シンチグラフィ/低髄圧症候群の疑い
9.副甲状腺腫瘍シンチグラフィ/原発性副甲状腺機能亢進症の疑い
10.肺血流シンチグラフィ/肺癌術前
11.出血シンチグラフィ/鉄欠乏性貧血
12.センチネルリンパ節シンチグラフィ/右乳癌術前
13.センチネルリンパ節シンチグラフィ/左母指有棘細胞癌術前
14.臨床のまとめ