呼吸機能講習会は1961年の発足当初より日本呼吸器学会と同じ年輪を加え,2010年には第50回に達する長い歴史と伝統を持つ点で際立っていると思う。
この講習会は欧米におけるその流れを取り入れ,わが国に定着させ,さらに呼吸器病への臨床応用をも目指した諸先輩の先見性と真摯な努力の歩みを反映する集まりであるといえる。45年を超える歴史の中で講義内容や受講生などに若干の変化も生じたが,同志的集団である肺機能セミナーによって主催され,“学閥なく,隔意なし”という共通規範の下で運営される点は何ら変わることがなかった。歴代会長の努力も相俟って呼吸機能に関する正しい知識,技法,臨床応用を習得した受講生が5000人を超える輝かしい成果を生んだのである。この間,本講習会テキストも改訂を重ね,今回第7版を上梓する運びとなった。第48回講習会を機に日本呼吸器学会が本会の主催母体となることを受けて,肺生理専門委員会が中心となって編集に当たって本書が完成したのである。基本編,応用編ともに最新の内容が盛り込まれ,呼吸機能の全てが習得できるカリキュラムを提供している。
(福地義之助「序文」より)
1 呼吸機能入門
2 スパイロメトリーと肺気量
3 努力呼出曲線,フロー・ボリューム曲線,ピークフロー
4 換気力学:コンプライアンスと抵抗
5 Chest wall と呼吸筋
6 肺胞気・死腔・シャント
7 拡散
8 クロージングボリューム
9 換気血流比不均等分布(理論と臨床的意義 AaDO2)
10 血液ガス
11 パルスオキシメータと臨床応用
12 酸塩基調節
13 呼吸調節
14 肺循環調節
15 呼吸機能検査の組み立て
1 閉塞性換気障害をきたす病態
2 拘束性換気障害をきたす病態
3 肺の循環障害
4 低酸素血症をきたす特殊な病態
5 気道内径調節のメカニズム
6 気道過敏症
7 運動負荷検査と評価
8 呼吸困難の評価
9 換気応答検査
10 呼気ガス分析(NO,CO,CO2),呼気凝縮液
11 睡眠呼吸障害
12 術前呼吸機能検査
13 急性呼吸不全とその対応
14 慢性呼吸不全とその対応
15 呼吸リハビリテーション
16 吸入療法
17 嚥下障害
18 加齢と呼吸機能
19 小児における呼吸機能検査
20 基準値と各種ノモグラム
21 行政関連項目―身体障害者福祉法,難病対策,じん肺法,石綿被害救済法,介護保険法―
臨床呼吸機能講習会の歩み