本書は，2005年に刊行した「変形性膝関節症の保存治療ガイドブック」の改訂版である。第1版は，幸い整形外科の診療現場に役立つことができ，再版の機会を得ることができたので，若干の追加，修正を行い第2版を上梓することとした・・・
変形性膝関節症を専門とする第一級の執筆陣が，最新の知識を詰め込んだ珠玉の一冊である。第1版と同様に日常の診療活動に活用し，さらに治療法の検証の際に役立てていただければ幸いである。
（岩谷 力「序文」より）
Ⅰ. 変形性膝関節症（膝OA）とは
1. 膝OAの定義
／1．背景 ／2．定義 ／3．病理 ／4．病期分類 ／5．臨床的診断基準
2. 膝OAの病因
／1．全身的要因 ／2．局所的要因
3. 機能障害・生活障害・QOL
／1．痛み ／2．身体機能の低下 ／3．基本的動作の障害（機能的制限） ／4．基本的日常生活活動への影響 ／5．手段的日常生活活動・社会参加への影響 ／6．心理的影響 ／7．QOL
Ⅱ. 膝OAの診断
1. 問診
／1．年齢，性別，身長・体重 ／2．生活環境 ／3．職業歴 ／4．既往歴 ／5．症状 ／6．鑑別のための問診
2. 理学所見
／1．視診 ／2．触診 ／3．関節可動域計測 ／4．異常音の聴取 ／5．関節不安定性の検査 ／6．ストレステスト ／7．計測
3. 画像診断
／1．単純X腺 ／2．MRI
4. 臨床検査
／1．血液検査 ／2．関節液検査
5. 鑑別診断
／1．関節リウマチ ／2．痛風性関節炎 ／3．偽痛風 ／4．化膿性関節炎 ／ 5．結核性関節炎 ／6．血友病性関節症 ／7．神経病性関節症（シャルコー関節） ／8．全身性変形性関節症 ／9．先端巨大性関節症 ／10．特発性大腿骨顆部壊死 ／11．脛骨顆部不顕性骨折 ／12．変性半月板障害 ／13．特発性膝関節血腫
6. 運動機能・生活機能評価
／1．運動機能測定 ／2．包括的機能評価・QOL評価 ／3．生活機能測定 ／4．健康関連QOL
Ⅲ. 膝OAの保存的治療
1. 総論
／1．軽症例の場合 ／2．中等症例の場合 ／3．重度症例の場合
2. 各論 1.運動療法
／1．8RCTに記載されていた運動 ／2．おすすめの運動療法処方 ／3．運動療法の禁忌 ／4．膝痛のある生活習慣病患者への運動処方
トピックス 運動療法に関するガイドライン
2. 各論 2.物理療法
／1．温熱療法 ／2．寒冷療法，冷凍療法 ／3．水治療法 ／4．電気刺激法 ／5．光線療法
2. 各論 3.装具療法と歩行補助具
／1．膝装具（knee orthosis，knee brace） ／2．足底装具 ／3．歩行補助具
2. 各論 4.薬物療法
／1．内服薬 ／2．外用薬 ／3．関節内注射薬
2. 各論 5.周術期の保存療法
／1．術前の評価 ／2．術前の歩行能力と深部静脈血栓症の発生の関連 ／3．術前のリハプログラム ／4．リハビリテーション同意書 ／5．術後のリハプログラム ／6．術後リハビリテーションの注意点
2. 各論 6.日常生活指導
／1．介護予防
Ⅳ. 処方モデルパターン
症例1 Kellgren-Lawrence I 程度の場合
症例2 Kellgren-Lawrence ＩＩ～III の初期程度の場合
症例3 Kellgren-Lawrence ＩＩＩ～IV 程度の場合
病期分類・評価尺度
病期分類
／Kellgren-Lawrence分類 ／変形性膝関節症のgrade（横浜市大〔腰野〕分類 ／北大分類
評価尺度
／JOAスコア ／WOMAC ／JKOM ／SF-36? ／EQ-5D