<< 一覧に戻る

インフルエンザ講座

(21)過去のパンデミック-ウイルス学的考察

信澤枝里

インフルエンザ Vol.7 No.3, 70-74, 2006

「はじめに」ヒトの間で流行するインフルエンザウイルスは, A, B, Cの3型に分類される. このうちA型ウイルスのみがパンデミック(大流行)を引き起こす. なぜなら, インフルエンザのパンデミックは, 従来流行したことのない新しい抗原亜型のウイルスの出現により引き起こされ, A, B, C型のうちA型ウイルスのみが, 多種類の抗原亜型(H1-H16, N1-N9)を有するからである(図1図説参照). 本稿では, 「インフルエンザ」の病因がウイルスであることが明らかになったきっかけとなる1918年のパンデミック(スペインかぜ)(図2)以降のパンデミックに関して考察する. 1 パンデミックを引き起こすウイルス A型ウイルスの自然宿主は水禽(カモ)で, この水禽は全抗原亜型のウイルスを有する. ヒトは元来A型ウイルスの自然宿主ではない. 鳥ウイルスが, 何らかの理由でヒト世界に侵入, 定着しヒトウイルスとなったと考えられている. そして, この「鳥ウイルスのヒト世界への侵入, 定着」は, 常にパンデミックを引き起こしてきた. なぜなら, ヒト世界に存在しなかった新しい亜型の抗原を有するウイルスが, それに対し免疫を全くもたないヒトの集団に入るからである.

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る