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移植肝の病理

第11回 感染症

井藤久雄藤岡真治

Frontiers in Gastroenterology Vol.12 No.3, 44-47, 2007

はじめに 肝移植にかぎらず臓器移植における挑戦は,拒絶反応抑制と感染症制御の歴史でもあった.カルシニューリンインヒビターが臨床使用されるまでの肝移植は実験的医療と言っていいかもしれない.筆者はかつて留学先であるドイツの大学で1985年までに実施された肝移植患者の剖検例を検討した経験がある.移植後3ヵ月以内の早期死亡122例中,腹腔内出血や血栓症などの外科的合併症46例(38%)は移植後2週間以内に死亡していた.敗血症や腹膜炎など感染症による死亡65例(53%)は移植後2週間から2ヵ月以内に集中し,巨細胞封入体ウイルス感染症は移植後3週間以降に発生していた(未発表データ).現在では肝移植患者の1年生存率,生着率が80%越えているが1),その要因としては拒絶反応抑制,外科的合併症の減少に加え,感染症制御によるところが大きい.C型ウイルス肝炎再発を除くと,移植肝生検で感染症を診断する機会は激減したが,免疫抑制下にある移植患者の感染症制御は生体部分移植,脳死移植のいずれにおいても,いまだに大きな課題であることに変わりはない2)3).本稿ではB型,C型ウイルス肝炎を除く感染症について提示する.

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