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入門 脳と分子生物学

血液脳関門の分子機構(水チャンネルの関与)

藤田政隆間瀬光人浅井清文山田和雄

脳と循環 Vol.11 No.3, 75-79, 2006

「1 はじめに」 確実な神経伝達を行うためには, 脳内の微小環境は厳密に調節されている必要があり, そのため血管と脳実質の間には「関門」が設けられ, 血液中の物質は自由に脳実質内へ行き来することができない. このことがわかってからほぼ1世紀経つが, その機構について明らかになり始めたのは, ずっと後になってからであった1). 現在, 脳脊髄液を含め, 脳組織と血液の間の物質輸送を制限する関門は, 脳実質内毛細血管の内皮細胞, 脈絡叢の上皮細胞, くも膜中皮の3ヵ所にあると言われている2)3)(図1). このうち, 脳実質内の血管内皮にあるものを血液脳関門と言い, 他の2つの関門と比べ, 神経細胞体との距離やカバーする面積の広さから, 最も強力で主要な関門と考えられる. 一方, astrocyteは脳脊髄液や血液と直接は接していないが, それらに直接触れる血管内皮細胞や軟膜を取り囲むように多数のendfootを出し, 血液や髄液の環境が直接脳実質内に影響しないようにバリアを形成することで, 脳内恒常性を維持する機能の一端を担っている. このastrocyteの, 特に軟膜直下や毛細血管周囲の細胞膜には, orthogonal arrays of particles(OAP)と言われる構造物の存在が割と古くから知られており, 血液脳関門との関連も指摘されていた4). その後, このOAPの正体が水チャンネルのaquaporin-4であることが明らかになった5)-7). 水チャンネルが血液脳関門とどう関わっているのか?本稿では, この点について考えてみたい.

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