骨・軟骨研究の基礎と臨床
基礎編 トピックス(1)メカノセンサーとしての骨細胞の役割
THE BONE Vol.22 No.3, 75-76, 2008
骨の表面で吸収や形成を営む破骨細胞や骨芽細胞と異なり, 石灰化した骨基質に埋まってquiescentの状態で長い年月存続する骨細胞の生理機能は, 謎に包まれていた. 最近, 骨細胞が発現する機能分子が次々と同定され, また骨細胞が力学刺激の応答にも関わることが確からしくなるにつれ, 力学制御に基づいた診断・治療法開発のターゲットとして骨細胞は大いに注目される. 「骨細胞の特徴」骨細胞(osteocyte)は, ヒトの骨1mm3あたり1~2万個と1), 骨の細胞の大多数を占める. 骨代謝の実行細胞である破骨細胞や骨芽細胞と比べると数の上で圧倒的に多いが, その生理機能はほとんど知られていなかった. 骨細胞は, 骨芽細胞から終末分化し, 分裂機能を失って細胞周期停止状態(quiescence)にある. 小胞体・ゴルジ体などの細胞内小器官が少なく, 蛋白合成能も低く, I型コラーゲンなどの基質蛋白を活発に分泌する骨芽細胞とは大きく異なる. 一方, 骨細胞の寿命は, 破骨細胞の数週間, 骨芽細胞の数ヵ月と比較すると, 10~20年以上と極めて長いのが特徴である.
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