超高齢社会が進む中で,いかに自立度を高く維持するためには,フレイルの概念の下,低栄養を背景とするサルコペニア対策が急務である。なかでも高齢者における食の安定,いわゆる「食力」というものに改めて焦点を合わせ,医科~歯科の視点だけではなく,社会的側面からも含めた大局的な視点からアプローチすることが求められる。筆者が実施している大規模高齢者コホート研究のエビデンスから,さまざまな口腔機能のささいな低下の重複も大きな身体的フレイルの増悪につながる等の新知見から,新概念『オーラルフレイル』を打ち立てた。この概念は,高齢者の食力を維持・向上させるために,今まで以上に口腔機能を包括的に評価する重要性を示しており,総合的な機能論でこだわっていく必要がある。また,食べる力は多面的な視点で下支えされていることもあり,専門職の臨床診療だけで乗り越えられるものではなく,自治体内のマルチステークホルダーが関わりながら推進しなければならない。すなわち,フレイル対策やオーラルフレイル対策はまさに「総合知によるまちづくり」で取り組むべきものである。
「KEY WORDS」フレイル,要介護認定,生活機能,高齢者,独居
「KEY WORDS」フレイル,要介護認定,生活機能,高齢者,独居