片頭痛の病態にCSDが最も関与しているという立場で議論していただいた増田励先生の論文では,CSDと頭痛の関係はいまだに不明の点があるが,最新のデータも調べ,さまざまな実験データからその関係を指摘していただいた.一方,古くから支持されてきた血管説については,Wolffの時代から始まる片頭痛研究の歴史そのものについて,柴田護先生にまとめていただいた.その中で,最新の知見も入れ,血管説もまだ残っていることを証明してくださった.このお2人の論文を読んでみて,この2つの説は,どちらが重要か議論することよりも,この2つの現象は卵と鶏の関係ではないかと感じた次第である.どちらの立場に立つにせよ,片頭痛の病態生理を考えるとき,両方の現象が起こっていることが重要なのではないかと考える.お2人には,最新の片頭痛に関する実験データなども含めて論じていただき,感謝を申し上げたい.

※本企画はテーマに対して,あえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません.

総論/荒木信夫
CSDが主体である/増田励
Vascular factorが主体である/柴田護
・総括/荒木信夫