「サマリー」Wolffら1)は,血管拡張性のある硝酸化合物(amyl nitrate)とCO2の投与によって前兆が減退することや,片頭痛発作時に側頭動脈の異常拡張が認められ,かつエルゴタミン製剤の投与によってその血管拡張が頭痛とともに軽快することを主な根拠として血管説を提唱した.もちろん血管説のみでは複雑な片頭痛の病態は説明できない.片頭痛の病態はすべて中枢神経にあり,血管拡張を含めて末梢性の要素は関係ないという考えが台頭した時期もあるが,血管系の異常が前兆や片頭痛発作の病態に関係しないという考え方は妥当ではない.本稿では,その根拠について概説したい.

※本企画はテーマに対して,あえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません.

総論/荒木信夫
CSDが主体である/増田励
・Vascular factorが主体である/柴田護
総括/荒木信夫