「ナビゲーター」シリーズの薬剤ナビ・アレルギーシリーズ。
ファーマナビゲーターとして機能するためには,まず治療方針における薬物療法の位置づけを把握する必要がある。アトピー性皮膚炎を例に取ると,本症は必ずしもアレルギー機序のみで発症する疾患ではなく,非アレルギー機序とその病態に基づくスキンケアやメンタルケアもきわめて重要である。アレルギー的な側面を捉えてみても,アレルゲン対策や環境整備などの非薬物療法も無視できない。このような薬物療法のオリエンテーションを踏まえたうえで,どのような薬物を選択し,どのように使用するのか,という具体的な戦略を提示しなければ十分なナビゲーターとはいえない。さらに,画一的な薬物療法では患者さんは満足しないので,EBMのみでなく,患者さんの個々を尊重するNBM(narrative based medicine)も等しく重要である。その視点から,各疾患ごとに「患者さんから発せられるありふれた質問に答えるQ&A」を豊富に用意した。
(宮地良樹「編集の辞」より抜粋)
Chapter 1 アトピー性皮膚炎
1.病態と治療指針,薬物治療の位置づけ
/1.アトピー性皮膚炎の定義/2.アトピー性皮膚炎の診断基準/3.アトピー性皮膚炎の発症機序/4.アトピー性皮膚炎の治療指針
2.病態に基づく薬剤選択と使い方の実際
/1.アトピー性皮膚炎の治療における抗炎症薬の重要性/2.炎症抑制のための外用薬/3.スキンケア/4.外用薬処方の実際/5.痒みに対して/6.重症例への処方/7.合併症
アトピー性皮膚炎Q&A
/1.最近アトピーが悪くなっているのですが,食べ物が原因でしょうか?/2.ステロイドの副作用について教えてください/3.バリア機能/4.プロトピック®軟膏について教えてください/5.民間療法を薦められたのですが,試してみてもいいでしょうか?/6.アレルギーマーチ~喘息への移行を心配しているアトピー性皮膚炎の子どもをもつ保護者の方~/7.血液検査で何がわかりますか?/8.私がアトピーなら子どももアトピーになりますか?/9.ストレスQ&A
Chapter 2 アレルギー性接触皮膚炎
1.病態と治療指針,薬物療法の位置づけ
/1.アレルギー性接触皮膚炎の定義,概念/2.アレルギー性接触皮膚炎の発症機序/3.アレルギー性接触皮膚炎の診断/4.アレルギー性接触皮膚炎の治療と対策
2.病態に基づく薬剤選択と使い方の実際
/1.病態と薬剤選択/2.処方例
アレルギー性接触皮膚炎Q&A
/1.いままで何もなかったのにかぶれる?/2.ステロイドを使って大丈夫?/3.今後かぶれないようにするには?/4.治療しているのに予期した効果が得られない?/5.日常生活で注意することは何?
Chapter 3 じんましん
1.病態と治療指針,薬物治療の位置づけ
/1.じんましん原因と発症機序/2.じんましんの病態と治療指針/3.じんましんの原因検索/4.内科疾患との関連
2.病態に基づく薬剤選択と使い方の実際
/1.じんましんの原因/2.病態に基づいた治療法の選択/3.難治例に対する治療/4.特殊なじんましんに対する治療
じんましんQ&A
/1.じんましんの薬を飲んだら眠くなると聞いたのですが?/2.じんましんの薬は,いつまで飲み続ける必要があるのでしょうか?/3.内臓が悪い?
Chapter 4 薬疹
1.病態と治療指針,薬物治療の位置づけ
/1.薬疹の病態とウイルス感染/2.原因薬剤の中止のみでよいか?/3.原因薬剤の中止か,変更か
2.病態に基づく薬剤選択と使い方の実際
/1.どのような治療があるか/2.実際にどのような治療を選択するか
薬疹Q&A
/1.今まで大丈夫だった薬でなぜ薬疹が出たのでしょうか?/2.原因薬を止めているのになぜ悪くなるのでしょうか?/3.漢方薬なら薬疹を起こしませんか?
Chapter 5 アレルギー性光線過敏症
1.病態
/1.多形日光疹/2.慢性日光性皮膚炎/3.日光じんましん/4.種痘様水泡症/5.薬剤性光線過敏症
2.診断
/1.光線照射試験/2.光貼付試験/3.紫外線誘発試験
3.治療方針
4.治療と予防
/1.局所療法/2.光線治療・PUVA療法/3.全身療法/4.予防
アレルギー性光線過敏症Q&A
/1.薬剤性光線過敏に対するサンスクリーンの選択は?/2.アレルギー性光線過敏症と皮膚癌の関係は?
Chapter 6 皮膚血管炎
/1.アナフィラクトイド紫斑/2.皮膚アレルギー性血管炎/3.じんましん様血管炎/4.結節性多発動脈炎/5.肉芽腫様血管炎
皮膚血管炎Q&A
/1.アナフィラクトイド紫斑/2.皮膚アレルギー性血管炎/3.じんましん様血管炎
Chapter 7 多形滲出性紅斑
多形滲出性紅斑Q&A