本邦の『腎癌診療ガイドライン』は,藤岡知昭先生の指揮の下で2007年に初版が作成され,次いで,分子標的薬の導入等を盛り込んだ改訂第2版が,同じく藤岡知昭先生を作成委員長として2011年に刊行されました。続いて,ロボット支援腎部分切除術の保険適用や免疫チェックポイント阻害薬の導入等を大きなトピックとして,改訂第3版である2017年版が大園誠一郎先生を中心としてまとめられました。その後,免疫チェックポイント阻害薬は複合免疫療法へと進化し,腎癌薬物療法にパラダイムシフトをもたらしました。そして,使用可能なレジメンが増える度にガイドラインの小改訂(アップデート)が2019年,2020年,2022年になされました。さらに2025年には,新たにHIF-2α阻害薬も使用可能となりました。また,手術においてはロボット支援根治的腎摘除術が保険適用となり,ablationや放射線治療等の局所療法も普及しております。そのような内容を盛り込みながら,ここに改訂第4版にあたる『腎癌診療ガイドライン2026年版』を皆様の元へお届けできることとなりました。2021年に改訂作業に着手して以来長い年月を要しましたが,その分多くの皆様の役に立つ内容の濃いガイドラインになっているのではないかと自負しております。
本改訂においては,2017年版からの大きな変更点として「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0」に則った改訂作業を行いました。恣意性・先入観を極力排した定性的システマティックレビューの工程は,様々な専門用語やルールからなる独自のメソッドで構築されており,改訂委員および協力委員の皆様には膨大なエフォートを賜りました。それに応じて,クリニカルクエスチョンは2017年版の29から10へと変更しておりますが,そこで触れられなかった臨床事項は総論部分で補完されるよう留意しておりますため,本文をご参照いただきたく存じます。また,本診療ガイドラインの作成に際しては,日本泌尿器科学会のメンバーに加え,患者団体の代表の方にも外部評価を行っていただきました。医療者のみならず,患者さんやそのご家族にもわかりやすいガイドラインであれば幸いに存じます。
序章
第1章 本診療ガイドラインについて
第2章 総論
第3章 クリニカルクエスチョンと推奨
CQ1 小径腎腫瘍に対する針生検は推奨されるか?
CQ2 cT1の腎癌に対して腎部分切除術の施行は推奨されるか?
CQ3 小径腎腫瘍に対する手術以外の局所療法は推奨されるか?
CQ4 小径腎腫瘍に対する積極的経過観察(監視療法)は推奨されるか?
CQ5 転移を有する腎癌症例に対して腎摘除術は推奨されるか?
CQ6 根治的腎摘除術においてリンパ節郭清は推奨されるか?
CQ7 転移巣に対する局所療法は推奨されるか?
CQ8 腎癌に対する術後補助薬物療法は推奨されるか?
CQ9 進行淡明細胞型腎細胞癌に対する一次治療として,免疫チェックポイント阻害薬を含むレジメンは推奨されるか?
CQ10 免疫チェックポイント阻害薬による治療後に増悪した症例に対する二次治療として,チロシンキナーゼ阻害薬は推奨されるか?
付録
1.TNM臨床分類
2.Stage―病期分類(I,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ)